技官としてのオレ

「技官」としての初めての個別指導

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技官として、初めての個別指導に臨む

 

数度の模擬指導を経て、ついにオレにもデビューの日がやってきた。

あかん、全然眠られへん。指導前夜になってオレがビビってきてしもた。

 

こんなこっちゃアカンやないか、と自分に言い聞かすが胸の鼓動が止まらない。

真っ暗な部屋で自分の心臓の音が聞こえるだけや。緊張の度合いが増す一方やで。

 

でも、自分ひとりで緊張してるだけなら問題ない。要は本番で被指導者の先生にかましたったらええんや。

一応、懇談形式でな。

 

そう考えるとちょっとは気が楽になってきた。気が付いたら眠りについとったで。

全くええ夢は見れんかったけどな。

 

 

ちなみに指導に慣れてからは、早く指導したくてうずうずし過ぎて眠られんってことは多かったな。

遠足前日の小学生みたいに。

 

 

まあ、そんなこんなで個別指導当日を迎えた。

 

とはいうものの、めっちゃ緊張する。こんなんいつ振りや?

果たして段取り通り事を進められるんかと心配になってきた。

 

でもこういう時こそ、先手必勝や。

 

被指導者の先生が入室するなり、元気一発「こんにちは!」や。

あれ、何か微妙な空気が流れてきた。隣の事務官も引いている。間違えたか?

 

しかしまあ、おかげで緊張も上手く解けてきて、ちょうど良い気分や。

まずつかみはオッケーってとこか。

 

 

さあ、個別指導のスタートや。まずは事務官からこっちサイドの自己紹介や。

続いて先生サイドの自己紹介、て何か合コンみたいやないか。

むさ苦しくて全然ワクワクせえへんけどな、ほんま堪忍やで。

 

 

事前の会議にて打ち合わせしてるから、指摘する内容やペース配分はだいたい決まっている。

台本通りと言っても、イレギュラーだらけなのが個別指導や。

全ての状況に対応できるのが一流の技官や。

 

気合入るで。時にはとんちの効いたアドリブが必要やしな。

 

 

まるで役者になった気分やな。

しかしまあ、特に舞台俳優ってどんな脳みそしとるんや?

大勢の観客を前にして台本を完璧に覚えてアドリブも織り交ぜて、何よりも別人になりきる。

どうでもいいが、役者の能力に想いを馳せてみた。

 

 

個別指導におけるイレギュラーの大きな要因は、やはり人間×人間の現場である、という事だろう。

何よりも感情の波が上下する事により、全く想定外の流れへと発展する。

 

 

今、目の前にいる先生もまさに感情の波に飲み込まれてしまっている。

まだ指導が始まる前にも関わらず、顔はやつれ、眼の下にはくっきりとクマが出来ている。

指導通知が届いてから、ろくに眠れず食事も喉を通らなかったのだろう。

 

気の毒だが仕方ない事や。同情している余裕はこちらにもない

 

軽いジャブとして慣らしていくような事務官の質疑応答にも、しどろもどろでにっちもさっちもいっていない。

 

 

これは、デビュー戦に対してのご祝儀を頂いたような個別指導やな。