ある開業医の話

ある開業医の話 ~第四部・新しい朝が来た⑪~

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『A子がね、しょっちゅう家に来るのよ。でね、

[エエ絵~♡エエ絵~♡]、てしつこくて。』

 

 

「うわ、だるビッシュやな。」

 

 

『その羽曳野ギャグ、止めて下さる?』

 

 

 

芦屋マダムが羽曳野知っとるんかい。

岸和田に匹敵するファンキータウンやで?

 

 

 

『ゴッホの絵を見て[これ、山下清の絵かい?]

だって。お前は、裸の大将か。』

 

 

ぼ、ぼくは、お、おむすびが、す、好きなんだな

・・・

 

 

『本当にね、家の中のありとあらゆるモノを観察

するの。お紅茶を淹れてる時にふと視線を感じて

振り返ると、【家政婦は見た!】の市原悦子みたいに

柱の陰からこっち見てるのよ。』

 

 

「うわ、ホラーマンやんか。」

 

 

『アンパンマンじゃないんだから。もうしんどくて。

話も全然面白くなくて。教養の無い人間って付き合っ

てられなくてよ。』

 

 

 

・・・お嬢様と付き合うのは、骨が折れそうやな。

 

 

 

『まあね、それでも主人の仕事もあるし子供の事も

考えたら、とにかくご近所と仲良くしておく必要が

あると思って、我慢してたんだけど。』

 

 

「我慢の限界を迎えた、という事やな。」

 

 

 

『主人にも言ったのよ、もうあの二人とは無理だわ

って。』

 

 

「それで、あいつは何て?」

 

 

 

『≪分かった分かった、おれから言っとくから≫、

て。でもそれからも変わらず、家に上がり込んで

来るわけ。もちろん、夫の不在時に。懲りもせず

面白くない話ばかり…

火曜サスペンス劇場の殺人犯の気持ちが理解できた

気がしたわ。』

 

 

「ちゃんと殺したんか?」

 

 

ジョークで聞いてみた。

 

 

≪心の中では何回もメッタ刺しにしたわよ?

白浜の三段壁から、何回も突き落としたわ。≫

 

 

・・・マジっすか。

 

 

 

妄想の世界では自分が主人公や、何でもありやで。

しかし現実に事を起こすから、事件になるんや。

【理性】、てホンマ人間の一番大切な能力やな。

 

 

 

【旦那デスノート】、て馬鹿馬鹿しいと思ってたけど。

妻がそうなら、旦那も同じように不満抱いてるに決

まっとるやんけ、と思ってたけど。

 

 

石橋貴明とか市村正規とか、年とって捨てられるの

は男の方なんやな。ある日突然出て行くんや。

イヤ、単に旦那が前兆に気付いてへんだけか。

他所に男作ると、アッサリ捨てられるんやな。

不満が積もると、恨みや殺意に代わるんやな。

 

 

結局恐ろしくて強いのは女の方、て事か。

うん、普段から優しく大事にしとかなアカンで。

 

 

 

『でね、B代ったらいちいち外出した事に口出し

してくるのよ。』

 

 

〔今日は家族でどこそこ行ってたんやね。ご主人の

帰りえらく遅かったやんか。お子さん良いおBeBeの服

着てたね~どうにもこうにもまこっちゃんやで。〕

 

 

そのギャグ、流行っとるんか?

 

 

 

『プールの監視員でもこんなに見てないわよ?』

 

 

いや夫人、あいつらはいざって時にはちゃんと

見てへんで。

ビルの警備員と一緒や、暇を持て余しとんねん。

自転車を止める位置とかどうでもエエ内容で、いち

いち善人に突っかかってるだけや。おかげ様で悪人

は、諸手を振って素通りしとるで?

 

 

だから、プールや海や銭湯では子供から絶対目を

離したらアカンで?命の危険はもちろんの事、

小児性愛の変質者にとっては宝の山ザックザック

ザックJAPAN状態やからな。

 

 

我が子を自分の力で死守するのが、親の努めや。

 

 

 

『しばらくして、隣にマイルドヤンキー一家が引っ

越してきてね。あの一家も監視対象になったせいか

特にB代とバチバチなのよ。もちろんA子もだけど

。全く、薬師寺保栄みたいったらありゃしない。』

 

 

・・・あの時のたけし軍団やないか。あの古民家の

後釜は、すぐ隣に住んどったんかい。

 

 

 

「それでね・・・」