指導への心構え

二重請求には気を付けろ!

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個別指導において事務官が口を挟む時は、書類に不審な点を見つけた時だ。

 

持参した日計表や技工指示書などに対して、である。

 

つまり個別指導時に事務官が技官へ話しかけた場合、厳しい取り締まりが始まる事が多い、という事だ。

被指導者の先生は気を引き締め直す必要がある。

 

いや、指導最大の山場だと思ってもらっても良い。

 

今回のケースでは、日計表に目が留まったみたいや。

技官の目がギラリと光っとる。口元からは、じゅるりと音が聞こえてきそうや。

よっぽどの獲物を捕えた証拠やで。

 

「○月△日の日計表を拝見したところ、この患者さんの欄ですが、まずは保険分の□千円の徴収が

確認されます。」

「ふむ」とオレがうなずく。何が「ふむ」やねんと自分に突っ込みながら、次の言葉を待つ。

 

「そして、自費分の10万円も確認されます。」

 

あらら。どうすんねん、先生。

 

「何の問題があるんですか?FOPしてエムドゲインゲルを填入しただけですけど。」

「一体どこがどう悪いのか、全く分らないんですけど。」

 

今までのイキった態度が一変、声が震えとる。

 

どんな言い訳並べたところで、自費カルテを持参してきてない時点で確信犯とみなされるで。

これは、れっきとした二重請求や。明確な証拠付きの。

 

脇が甘いわ、甘すぎる。甘過ぎてオレが虫歯になってまうわ。

思わずしょーもないことを考えてしもた。

 

「だから、知りませんて!」

いや、「知りません」を使うとこ完全に間違えてるで。

 

文言に余分な事(エムドゲイン)を書いた事に関しては、完全に職業病やな。

勉強会好きのカシコが足元掬われる典型的なパターンや。

 

まあしかし、仮にエムドゲインゲルを入れてたとしてもタダ(0円)でしてるんなら

こっちの知った事ではないからええやけど。

要するに、保険診療において認められた治療をタダでするのが問題なんや。

 

だから今回のケースでは、自費カルテをもってきてないまでは良かったけど(アカンけどな!)、

日計表にこれだけくっきり出とったらあきませんわ。

もはや言い逃れできへん、明確な証拠をゲットだぜ。

 

こうなると、事務官はまるで水を得た魚や。

 

他もチェックし、全てのFOPで二重請求が発覚した。

最初は威勢良かったけどな、あっという間に完オチや。

 

それでもまだ力無くゴネとるけど、もう無駄な話やで。

後はこっちの腹ひとつや、せめて頑張って良い心証を与えてくれるか。

 

 

 

ここで、二重請求についておさらいしておきたい。

 

診療報酬の請求のうち、故意や重大な過失が認められるもので、詐欺や不法行為に当たる不正請求の一つで、

自費診療で行って患者から費用を受領しているのも関わらず、保険でも診療報酬を請求する事」である。

 

つまり、今回のケースは自費治療としてエムドゲイン(歯周組織再生療法)を主目的として外科処置を

行っているので、FOPで保険請求を別にしているのは2重請求に当たる事となる。

 

この先生に関しては、初めから故意に行ったのか個別指導への準備の過程で気付いたのかは分らないが、

日計表にはっきり記録されているにも関わらず自費カルテを持参していない事から、

故意に行ったものとみなされても仕方ない。

 

きつい言い方をすれば、詐欺と扱われるのだ。

 

その後のカルテにおいても、類似の二重請求がたくさん見つかった。

 

このように、指導中に明らかな不正が偶然(でもないが)みつかるケースや、

あらかじめ「臭う」レセプトを選定しているケースがある。

 

もちろん、二重請求が疑われる情報提供も多い。

 

これはドクター重田のコラムでも述べられていたが【コロナで遅れた指導はどうなるか?事務官に聞いてみた。

(その3)を参照】、明らかに自費治療に移行しているのではないか、と疑われるレセプトがある。

 

つまり技官も事務官も「分かっている」のだ。

 

 

 

明言は避けるが、この先生に然るべき処分が下った事は言うまでもない。

 

手前味噌だが、個別指導の恐怖というものが垣間見られたケースであった。