技官としてのオレ

技官が始まる

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いざ、技官に!

 

無事、試験に合格した。これでオレも晴れて技官の仲間入りや。

 

保険の勉強はそれなりにやってきたし、臨床もしてきたから場数は踏んできたつもりやけど、あくまで新参者や。気合い入れて行かなあかん。

 

しかしそんなやる気は、初日から見事に砕かれてしまった。舐めてた、これが技官の世界か。詳しくはまた言うわ。とてもじゃないが並みの精神力ではやっていけない。仕事内容を理解する前に、精神面を鍛えなアカン。

それにしても、百戦錬磨の技官は恐ろしいで。油断も隙もないとはこの事や。指導に当たる先生方も覚悟しといた方がええで。

 

そんな事を思いながら毎日勉強、研修漬けの日々を過ごした。今までとガラッと変わり、臨床は一切ない世界や。

ストレスがあるのかないのかよく分からん。

 

これまでとは全く違うプレッシャーがある。毎日が刺激に満ちとるわ。

まだ大学や勤務医の先輩にいびられてた頃の方がましやった。

しかし人間知らん間に周囲に感化されるのか、しばらくして後輩が出来た時には、自分も先輩技官としての振る舞いになってたわ。

 

我ながら努力の甲斐あって現場へ出る事が許された。いよいよ実戦や。ただしそうはいっても車の教習所と同じで仮免許が出たに過ぎん。当たり前や、まだオレはクンロクのかまし方一つ知らんのやからな。

 

模擬指導を行う。指摘事項に関しては事前の打ち合わせや擦り合わせの会議で大枠が決まっているため、二時間という制限時間に落とし込むようにシミュレーションする。

 

佇まいや視線、声のトーンからしゃべり方まで一応の型はあるけど、そこからうまいこと自分でアレンジして料理していかなあかん。

 

具体的な内容はそこからや。まだスタートラインにも立ててない。この時点で並みの仕事じゃないのが良く分かる。

そらそうか。下手したら、被指導者の先生の人生を変えてしまうんや。こっちだって覚悟を持ってないとできる仕事ではないで。

 

カルテやレセプトのめくり方、その時の音の出し方まで学びつつ、シミュレーション通り指摘していく。当然、先生のリアクションも複数想定している。実際、下手にごまかす先生もおるけどそんなもん焼け石に水や、ていうか火に油を注いどるだけや。

 

駆け出しの頃、ある先輩から「役者になるのも必要や。ただし、自分で自分を洗脳せんとこの仕事はやっていかれへん」と言われたのを思い出した。

その時は、先生方のために行う指導でなぜ自分を追い詰めなければならんのや?

て思ったけど、あれから経験値を詰んだオレには理解できるで。

 

文字通りの役人仕事や。テレビで見る政治家や官僚も面の皮が厚いんやない。面の皮を何枚、何十枚も持ってるんや。それくらい図太い神経した人間じゃないと務まらんもんや。