このように、「個別指導」というだけで委縮してしまうケースは非常に多い。
いや、ほとんどの先生がそうではないだろうか?
これは、多分に「個別指導」というものがブラックボックスと化しているからであろう。
過去に個別指導が実施されてきた回数を考慮すると、当然累積では相当数に上る事となる。
にも関わらずその全容はもちろん、入口付近の状況すら分っている先生は少ないはずだ。
これは単純に、普段の診療の中で興味のある分野ではない事も一因であろう。
保険医であれば誰もが選定される可能性があるにも関わらず、だ。
そしてやはり「個別指導」が終わっても気持ちが萎縮してしまい、経験された先生方が
有益な情報を発信することなど到底できないであろう背景が考えられる。
極端な話、国を相手にした話である以上、至極当然の反応だと思われる。
しかしこの状況が続く限りは、本来「保険診療のルールを周知する教育的目的」
で行われる個別指導も、本来の役割を果たせないままではないのか。
まさに本末転倒である。
このような現状のなかで、ドクター重田の登場というのは画期的な出来事ではないだろうか。
お世辞でも何でもなく、これほど明快に詳細を教示してくれる存在は、はっきり言って
今までなかったのだから。
個別指導通知が届いてからの準備方法や、指導当日の具体的内容まで網羅されているのだから、先生方にとってこれほどありがたい存在はないであろう。
しかも本人自身が10回以上も個別指導を経験しているという、これ以上ない説得力に裏打ちされているのだ。
もしも自分が個別指導に選別されたら、と考えるとまさに「地獄に仏」の存在である。
そして日常臨床においても有益な保険算定の方法を発信している。
自分も直にお会いしてみて、その保険医としての魅力に引かれた。
と、いうのが正直な感想である。
幸いにも共に携われるのだから、「元技官」としての自分の立場から、先生方のお力になれれば幸いである。
指導される側ではなく、指導する側としての視点で経験を踏まえた様々な私見を述べて
いけたら、と思っている。
早速ではあるが前回のコラムで書いた通り、個別指導だという理由だけで完全に委縮、
いや恐怖を感じて当日を迎えられる先生は非常に多い。
シンプルに、これはマズい。
何もやましい事をしていないのであれば堂々とするべきだ。なぜなら、その縮こまった
態度のせいで逆に何かしているのでは、と怪しまれるのである。
警察官の職務質問でもそうだろう。
技官は元から不当請求や不正請求などを疑ってかかっているのだから、余計に痛くもない腹を探られることになる。
もうすでに冷静さを欠いているのであれば、普段ならあり得ない答弁をしてしまう先生がこれまた非常に多い。
答え方一つで、悪気のない不当請求が悪意に満ちた不正請求になってしまうのだから、いかにこれが危険な事か分るだろう。
増して、不要な指摘事項を増やし、余計な返還金を支払う事にもなってしまう。
その他にも難しい状況はあるが、それはおいおい紹介していきたいと思う。
とにかく委縮してもしなくても指導結果に変わりはないのだから、まずは堂々と胸を
張って指導に臨んでもらいたい。別にそんなことで心証が悪くなる事はないのだから。
ただし、当たり前だが喧嘩を吹っ掛けるのとは違う。
それは、再指導や中断、監査をしてくれと言っているようなものだ。
あくまで自分に自信を持って臨む。フリをするだけでも良い。もちろん最善の準備をして、という大前提があっての話だが。
そう、背筋をピンと伸ばして、技官の目を真っすぐ見るんや。
風格は恰好や姿勢から作られるもんやで。