今回のケースのように、プライドの塊みたいな先生はそれが大きなネックとなってしまう。
個別指導とはそういうものだ、と言えばそれまでなのだが。
そもそも個別指導とは、「保険診療のルールを周知させるため」の教育的指導を懇談形式で行うものである。
すなわち、ネックもくそもある訳がないのだが、指導する側とされる側には明確な格差のようなものがある。
このような歪な構図は歴史的なものが関与している事もあるが、要はそう簡単に変わるものではない、という事だ。
残念だが、それが現時点での現実だ。ならば、どの様な態度で臨むべきだろうか。
技官の立場から見ていきたい。まず見るのは全体の雰囲気だ。
当たり前の話だがあまりにも尖った雰囲気で指導に臨んでくる先生は、その時点でハンデを背負っていると考えていい。
何度も繰り返すが、心証が第一だ。このような先生は、再指導になるのがオチだ。当然、カルテの内容によってはそれ以上の過酷な結果が待っている事だってある。
再指導は、思っている以上にきついものだ。
おおよそ1年後に指導通知が届くと言われているが、正確な日時が決まっているわけではない。1年6ヶ月後の場合だってある。
個別指導は何よりも準備が大変だ。想像している何倍も、いや、何十倍も。すでに個別指導を経験済みだから、余計に気持ちが滅入ってしまう。知らぬが仏の事もあるのだ。
実際、うつ病を発症してしまう先生も少なくない。自分一人で完結するならまだしも、医院にその負の感情が伝播してしまい、スタッフの離職や売り上げの減少に拍車をかけてしまうことだってある。
最悪、家庭崩壊となってしまったケースもある。まあそれは、個別指導が引き金になっただけの話やと思うけど。
とにかく指導結果においては、「概ね良好」は実質ありえない訳だから、「経過観察」を目指して本番を迎えてほしい。
なので、指導当日は様々な感情が入り混じるものだが、まずはその感情を抑える事が必須だ。むしろ、指導して頂くくらいの気持ちで臨んでほしい。
もちろんそのためには、これも繰り返しになるが徹底した準備が必要だ。
事前に指定されたカルテ、エックス線フィルム、関係書類などの持参物を完璧に準備するのは、はじめの一歩にすぎないと思ってほしい。
ただしそうは言っても、すでにこれだけで膨大な量となる。
ここはドクター重田に任せるとして、これらの資料を矛盾なく、整合性の取れる様に準備しなければならない。
オレもそうだったが、技官はそこを見ているのだ。いや、そこしか見ていないのだ。エリートの研ぎ澄まされた嗅覚と鋭い牙を舐めて掛かってはいけない。
不当になるか不正になるかは彼らの腹一つで決まる場合だってあるのだ。
とにかく、まずは「全て」の準備を徹底すること。後の指摘事項はもちろん、指導結果にだって影響を及ぼす事だからだ。