ここで、改めて個別指導の対象となる選定基準を確認しておきたい。
それは、大きく分けると以下のようなものに分類される。
・保険者、患者などが情報提供した医療機関
・個別指導で再指導となった医療機関
・監査の結果、戒告または注意を受けた保険医療機関 等
・高点数医療機関 等
このうち、先生方が日常臨床で最も意識しているのは「高点数」に引っからないように
「平均点を抑える」事ではないだろうか。
まず高点数が選定対象となる場合、集団的個別指導を経る事となる。
これは、前年のレセプト1件当たりの都道府県平均点数の1.2倍を超え、かつ上位8%の
医療機関が対象となる。
この場合、レセプト1件当たりの点数(いわゆる高平均点数)だけが選定基準となり、
レセプトや勤務医の数などは原則考慮される事はない。
技官時代は、こちらが心配になるほど月のレセプト数が少ない医院の個別指導も多かった。
必然的に平均点が上がるパターンだ。何の悪さもしてないのに。
これ、ただのイジメやろ。
そして、ここから問題の個別指導に繋がる選定基準には、指導大綱に次のように記されている。
「集団的個別指導を受けた保険医療機関等のうち、翌年度の実績においても、
なお高点数保険医療機関に該当するもの
(ただし、集団的個別指導を受けた後、個別指導の選定基準のいずれかに該当するものとして個別指導を受けたものについては、この限りではない)」。
また厚労省によれば、具体的な対象範囲については「翌年度の実績において集団的個別指導を受けた
グループ内の保険医療機関等の数の上位より概ね半数以上」とされている。
*「集団的個別指導及び個別指導の選定の概要について」(厚労省HPより)
集団的個別指導を受けたグループの中で、翌年度の実績が上位半数以上(全医療機関の4%程度)に入ると、
個別指導の対象になるという事だ。
しかし、必ずしも上位4%の歯科診療所全てが個別指導を受けるとは限らない。
今現在、個別指導の選定に際しての最優先事項は、情報提供だからだ。
また、明らかに平均点数を抑えているにも関わらず集団的個別指導に呼ばれるケースもみられる。
これは、周囲の歯科医院の平均点が下がる事によって相対的に自院の平均点が高くなってしまう事が
理由である。
こうなると、日頃どれだけ注意していようが自分でコントロールできる範囲ではなくなってしまっているため、新たな対策を取ろうとする先生がおられる。
しかしそれはつまり、さらに自院の平均点を下げるという方法となってしまい、売り上げの減少といった
本末転倒な結果になってしまう。
もちろんそんな事をする必要はない。
保険医である以上、個別指導に選定される可能性は全員誰にだってあるのだ。
従って、何よりも保険診療のルールを理解して頂いて日常臨床に臨んでもらいたい。
であれば、最悪個別指導に選定されたとしても必要以上に恐れる事はないだろう。
同じ理由で、集団的個別指導に選定された時点で萎縮してしまう先生も多くおられる。
これも、あくまで保険診療のルール内で日常臨床をしていれば何も恐いものではない。
萎縮して売り上げを落とす方がはるかに医院にとって、先生方にとって痛手となると思うのだが。
とにかく私達の気持ちとしては、先生方には可能な限りたくさん稼いで欲しい。
そのために保険診療のルールを学び理解し、整合性の取れた算定をして欲しい。
注意が必要なのは、地域性もある事から、それぞれが注意すべき事を把握したうえで、
変に委縮せず適切な算定を出来る限りして頂きたい。
そのためのお力になれたら、幸いである。
では、先にも述べたが現在個別指導の選定基準として最優先事項となっている情報提供について
これから具体的な内容を、実例を交えてご紹介していきたい。