非モテ院長のゴミ経営記 勤務医時代(その6)
久しぶりだな。
風呂入ってたわ。
そろそろ狩の季節なので、体を絞ろうと思っていたら、
今、フラフープダイエットが関西のLA 、
尼崎辺りのセレブリティを中心に大ブームが巻き起こってると聞いたので、
大阪のマイアミ、
住之江のトイザらスにお忍びでフラフープを買いに行った。
腰をふりながらそこら辺の育ちの悪そうな
ガキどもをフラフープで蹴散らしながら
レジへと進んでいき、「NYPD! 」
と絶叫しながら会計をモノポリーのお札で済ませ、
愛車のフェラーリF 40をピットブルを聴きながら運転し、
信号待ちで横に並んだ痛車のオタクを
フリースタイルラップとオタ芸で打ち負かし家に帰って、
風呂に入って今に至る。
って感じだ。
待たせたな。
じゃあ、ヒデの話の続きをしよう。
ヒデは俺の弟子入りの申し出を聞いて、
嬉しそうに、そして何か少し悪だくみしてそうな表情でこう言った。
「山崎クン、俺もそしたら本気で教えたるから、山崎クンもそれなりの代償を払ってやらなアカンわ。そやないと本気でやれへんやろ。」
「はぁ、、と言いますと?」
「オレもやるからには中途半端なことはしたない。それにオレも暇やあらへんからな。
ひと月10マンや。そのかわり、絶対山崎クンを生まれ変わらせたるわ」
ヒデは金を要求してきた。
そして、絶対と言ってきた。
俺は絶対という言葉は普段ほとんど使わない。
しかし、たまに頻繁に使うやつがいるだろう。
こういうやつは要注意だ。口だけのやつが多い。
だが、みんなそこに騙される。
ニュースや、朝の情報番組を見ていても、
そして、みんなもそうだろうが、
自分の意見を述べているのに、「〜〜かもしれませんね。」
「かもしれませんね。」
保険をかけた言い回し。
自分の意見というにおいを消した責任逃れの言い回し。
だからこそ、大多数のそんな中で、自信をもって「絶対」というやつは
そのコントラストで、説得力や自信、カリスマ性を感じさせるのだ。
これは超有料級情報だ。
スタッフに対しても自分の気持ちを、言いたいことを一般論的な言い回しでぼかしてないか?
言っておく、
そんなことでは全く通じないし、
無意識下で自分の意見がない奴だと思われ
格下判定され言うことを聞かなくなる。
俺はこう思う。
○○、と俺は思う。
絶対○○するな。
絶対こうしろ。
必ず主語を俺でも何でもいいが自分にして必ず断言しろ。
明日からそう伝えろ。
話を戻す。
そしてやはり、隙あらば銭のタネにしようとしていると感じてたのが的中した。
俺はそうとは分かっていても、
そしてこの先にさらに要求がエスカレートし、
ケツの毛までむしり取られるのではと嫌な予感がしても、
目の前にいるオス感溢れるこの男からその秘訣を教えてもらいたいという気持ちが勝り、承諾した。
「わかりました。それ以上かかりませんよね?」
一応確認しておいた。確認したところで、こういう人は関係なくやる時はやってくるだろうが。
「うん、それ以上はかからんよ」
こうして俺は月10マンという決して安くない
「お月謝」を払って俺と全く逆サイドに位置するチンピラ風の男からモテ道を指南してもらうことになった。
聞くと、ヒデは色んなところから女を「仕入れ」ていた。
夜のキャバクラやクラブ、街でナンパもよくすると言っていた。
街の中心部にユニクロとH&MとZARAが近接しているところがあり、そういう店の中で声をかけると言っていた。
ちなみにヒデはそこを「恋の三角地帯」と呼んでいた。
そして、ヒデが俺にまず最初に課したのがナンパだった。
ナンパは大学時代に先輩からやらされて何回かはした事があったが、自ら進んですることは無かった。
しかし、誰かにやらされる方が断られても、やらされてるから精神的ダメージは少なかった。
チンピラフレーバー全開で、隙あらば俺を売り飛ばすくらいしそうなヒデに言われれば仕方なく出来そうだ。
そして、毎月10マン飛んでいくしな。
何かを成し遂げたやつを見た時に、そこにそいつの強い意志の力が働いていると感じるだろう。
強い、決して折れない、強い意志の力を。
だが、思うに多くの人間は途中で挫折したり、投げ出したりしてしまう。
俺も含め、凡人は「まず自分の意思の力を疑う」ことから始めた方がいい。
実は、それが何かを成し遂げるはじめの一歩だ。
では、疑いの余地のある自分の意思のもと、どうやって物事を成し遂げるのか?
それは、
自分の意思の力を疑い、意思が無くても常にやらざるを得ない環境をまず作ることだ。
環境は整った。
そして、これから、俺の辛く険しいナンパ修行が始まることになった。