非モテ院長のゴミ経営記 勤務医時代(その12)
い いい日旅立ち
ん ん~そうですね~
ちょ ちょうこうそく診療も
や やろうとおもえば
ま まあまあできるけど
ざ 「ざ」なん?「さ」なん?自分でも分かってない
き きゃっ、あ、だめ もう ばか♡
どーも 萬田銀次郎です。
利子は十一です。
愛車は型落ちのSL AMG です。
それではさっそく今回はナンパ編をお送りします。
診療終了後、 俺はバナナの着ぐるみを纏い駅前のスクランブル交差点へと突入していった。
家路を急ぐ人、キャッチや、ティッシュ配りの人、路上ライブをやっている奴や、拡声器で政治批判しているやつ、
普段は気に留めなかったが、実に様々な種類の人間のるつぼとなっているそこでは、
バナナの着ぐるみの俺は、チラ見はされるものの自分が思っていたほど、人の目を引くことはなかった。
他人は、自分が思っておるほど他人に興味がないのだ。
特にこういう場所では、宗教の勧誘、ナンパ、ビラ配り、居酒屋のキャッチ、スカウトなど
むしろ無関心すら装わなければ変な奴に捕まって時間をとられる可能性のほうが高い。
そんな中、ヒデが遠くに見えた。ヒデに見られているほうが、
むしろやらなければならない状況下になるので、好都合だ。
俺は、あのセンスのないクソ怪しいビラを配りだした。
バナナの着ぐるみを着ているので、新手のスイーツ店の宣伝と思われたのか、意外と手に取ってくれる人が
ちらほら出た。
と思ったのも束の間、たまたま偶然だったようで、取ってもらえたのは最初の7枚くらいで、
そんな都合のいい解釈が通るわけもなく、そこからかなりの時間低迷した。
そこで俺はキャッチやスカウト、ティッシュ配りの奴らの声掛けや、動きを観察することにした。
すでに自分がバナナを纏っていることは忘れていた。
特にナンパ師のターゲットの選別、動きや声掛け、声のトーン、オープン(相手が無視せず対応してくれること)した時の立ち振る舞いやその後のトークなどを観察した。
、、、、、、、、。
しかし、よくよく考えると別に女の子限定ではなく、今回はあくまでもバナナを着てビラを100枚配りきるという
ミッションであったことに気づいた。
そうだ、おっさんでもばあさんでも配り切ればオッケーなのだ。
しかも、先ほど様々なジャンルの奴らの動きやトークを見ていた俺は、その選別において
ある仮説を立てた。なんか歩くのが速くて、なにか目的がありそうな雰囲気で歩いている人は
なかなかオープンしていないし、そういう人に奴らは行っていないのでは?
そして、居酒屋キャッチの奴らは声をかけるグループや属性によって声掛けやトーク内容を変えていた。
俺はこれらを参考に、とにかく100枚配り終えることにコミットすることにして、
おっさんにはいかがわしいピンクチラシ系な雰囲気で行き、
ばあさんには新しい果物屋ができたといい、チラシを握らせ、
ちょっと圧をかければもらってくれそうな男子高校生グループには「これもらって」
といって手に掴ませ、
たまに来る外国人観光客は一緒に写真を撮らさせて渡していった。
明らかに前半と俺の動きや渡す瞬間のムーブや立ち振る舞いは変わっていた。
単にサッとチラシを差し出すのではなく、
ティッシュ配りのにーちゃんがしていた、差し出すときにクルクルっと手首を回して
差し出すムーブもまねてからはもらってくれる率が高まった。
そしてやればやるほど、温まるというか、慣れが生じ、声のトーンや表情、タイミングもつかめてきた。
何事もその道は追求すれば奥が深いことと、やはりトレーニングが必要なのは、どんなことでも一緒だ。
特に今回学んだことは、その交差点で声掛けをする奴らの目的の違いや、
そこを通過する人々の属性やニーズの違いはあれど、総じてそこで売られているものは
クソなものである。
しかし、クソなコンテンツであり、スクランブル交差点を通過する人もそれをわかっていながらも
オープンする人は必ずいる。いかに数を打つことが大切か、ということと、
コンテンツはクソでも立ち振る舞いや声のトーンなど、そういう外側の部分が
ファーストコンタクトでは、むしろ内容よりも大切だということがわかった。
つづく