保険算定部

歯科医療(その2)ナンバー4

安心・安全で質の高い歯科医療の推進するためのICTの活用や研修等に関する資料となります。
歯科医療において期待されるICTを活用する診療形態として、Ⅰ:Dentist to P with DH (Dental Hygienist)やⅡ:Dentist to P with Doctorなどが挙げられます。
Ⅰ:Dentist to P with DHは、口腔衛生管理が必要な患者に対し、歯科医師の指示により、歯科衛生士が在宅や歯科医師がいない病院、施設等において口腔衛生管理等を行うことになります。訪衛指時や、衛生士による居宅療養管理指導時の加算として、ICTの利用が出てくるかもしれません。
Ⅱ:Dentist to P with Doctorは、在宅療養を行っている患者に対し食支援で医師・歯科医師等の多職種が関与している場合において、医師の診療時に、必要に応じて歯科医師が口腔機能・口腔衛生に関する指導管理を行うことになります。その他として、病院(救急搬送時)に、専門の歯科医師(口腔外科等)がいない場合等があります。医科歯科連携としてのICT 活用に歯科と医科共に加算として評価されるかもしれません。その後に、なにかしらの施設基準の実績として出て来てもおかしくありません。

歯科医療におけるICTを活用した検証事業に関するものです。ICTを活用して歯科医師の指示により歯科衛生士が在宅や歯科医師がいない病院、施設等において口腔衛生管理を行う場合などが検証されています。
検証結果をまとめたものとして、歯科衛生士が訪問による口腔衛生管理等を実施する際に、遠隔の歯科医師が口腔内の状況を確認することで、より詳細な指導が可能となったこと。そして、歯科医師が同行できない場合において、歯科医療機関での対面診療の合間に対応することが可能であったということです。
それらの結果より、口腔内カメラによる口腔内の撮影に関して、現場の撮影者は口腔内カメラで歯科医師から指示された部位が撮影できるようにするとともに、口腔内カメラで適切に映すことができない部分については、口頭での説明が必要になるため、歯科分野について一定の知識が必要ということ。そして、 患者の状況を確認しながら計画に基づいて実施することが望ましく、初診においては対面が望ましいと考えられるとともに、定期的に歯科医師による対面診療の実施が必要ということです。
今後、コロナで対面が規制されやすいなか、ICT 活用は推進されていくことと思います。

訪問歯科衛生指導料の内容と算定状況となります。
算定要件は、歯科訪問診療を行った歯科医師の指示に基づき、歯科衛生士、保健師、看護師又は准看護師が訪問して療養上必要な指導として、単一建物診療患者又はその家族等に対して、当該患者の口腔内の清掃(機械的歯面清掃を含む。)、有床義歯の清掃指導又は口腔機能の回復若しくは維持に関する実地指導を行い指導時間が20分以上であった場合は、患者1人につき、月4回に限り、算定するということです。
全体として、令和2年6月審査分で以前に比べて算定回数が減っています。コロナの影響で、特養、老健などの施設や、病院での訪問控えがあるのかと考えられます。訪衛指は介護保健がある場合には、算定不可のため、医療保険での療養の給付になる特養、老健、病院での算定になります。

厚生労働省の委託事業として日本歯科医師会が実施している「歯科医療関係者感染症予防講習会」に関する資料です。令和3年度からは、従来行ってきたHIV、肝炎等の感染予防に関する内容に加えて、新型コロナウイルス感染症を踏まえた感染予防に関する内容が追加されております。
以下に内容を記載します。
1.目的
歯科医療従事者に対して、HIVウイルスやHBVウイルス、新型コロナウイルス等の特徴を踏まえた院内感染対策等に関する講習を行い、歯科保健医療の安全の確保を図ることを目的とする。
2.事業の実施主体
厚生労働省の「歯科医療関係者感染症予防講習会実施団体公募要領」に基づき、日本歯科医師会が受託し、都道府県歯科医師会の協力の下に実施する。
3.事業内容
(1) 受講対象者:歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士等
(2) 講習内容:HIVウイルスやHBVウイルス、新型コロナウイルス等の特徴を踏まえた院内感染対策等、歯科医療及び歯科衛生の安全を図るために必要とされる事項に関する講義及び実習とする。

歯科外来診療の特徴です。
歯科外来診療においては、日常的に唾液もしくは血液に触れる環境下で多くの器械・器具を使用しているということです。赤点線で囲まれている・口腔内バキューム・排唾管・スリーウェイシリンジ・歯科治療基本セット(歯科用ミラー・ピンセット 等)・手用器具、赤線で囲まれている・歯科用ガス圧式ハンドピース・マイクロモーター用ハンドピース・スケーラーが強調されています。

歯科医療機関における標準予防策を示しています。
標準予防策は、「すべての患者のすべての湿性生体物質:血液、体液、分泌物、嘔吐物、排泄物、創傷皮膚、粘膜等は、感染性があるものとして取り扱わなければならない」という考え方を基本としています。また、患者の唾液等に触れた(又は触れたおそれのある)物はリスク分類に基づき、適切に処理するということです。

新たな感染症を踏まえた歯科診療の指針の紹介となっています。
診療に関する留意点としまして、
〇診療室内のエアロゾル対策:吸引装置の適正使用
・口腔内での歯科用バキュームの確実、的確な操作を行う。
・口腔外バキューム(口腔外吸引装置)の活用も望ましい。
〇手袋、ゴーグルまたはフェイスシールドについて
・手袋は患者ごとに交換
・エアロゾルへの対策としてゴーグルまたはフェイスシールドを装着
〇歯科用ユニット、周囲、その他接触部位の消毒
・患者が触れた部位および触れた可能性のある高頻度接触部位に対しては、抗ウイルス作用のある消毒剤を含有させたクロスを用いての清拭
〇治療前後の含嗽(口、喉のうがい)
・患者に治療開始前に洗口薬で含嗽(ポビドンヨード、CPC)してもらい、口腔内の微生物数レベルを下げることも飛沫感染対策として有効。
【診療環境に関する留意点】
○密集回避のため、予約間隔や使用ユニットの調整
〇定期的な窓開けによる換気の徹底
〇受付においても、常時マスク、ゴーグルやフェイスシールドの着用
〇患者来院時の手指消毒の徹底
等が、上げられています。

令和3年8月4日にも中医協で出されている資料です。歯科における院内感染症対策に係る初診料の「注1」の施設基準の内容と、施設基準を満たさない場合に、初診料・再診料が低く設定されている評価体系を示しています。施設基準には、院内感染防止対策に係る研修を受けた常勤の歯科医師が1名以上配置や、職員に対する研修等が要件となっています。
歯初診等の施設基準の要件は、
1 歯科外来診療における院内感染防止対策につき十分な体制が整備されていること。
(患者ごとの交換、専用の機器を用いた洗浄・滅菌処理・職員を対象とした標準予防策等の院内研修等)
2 歯科外来診療における院内感染防止対策につき十分な機器を有していること。
3 歯科外来診療における院内感染防止対策に係る研修を受けた常勤の歯科医師が1名以上配置されていること。
4 歯科外来診療の院内感染防止対策に係る院内掲示を行っていること。
となっておりました。

地域包括ケアシステムの推進および安心・安全で質の高い歯科医療の推進に関する中医協における主な指摘となっています。
以下に主な意見を示します。
(地域包括ケアシステムの推進について)
〇 かかりつけ歯科医による口腔疾患の重症化予防や口腔健康管理の取組がより推進されるよう引き続き対応していくべき。
→P重防やSPT はやはり重要です。
○ かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所は地域包括ケアシステムを推進するために地域の中心として活動することが求められている。これが広がらない理由について検討しつつ、更に推進されるような項目を施設基準に組み込むこと等について検討すべき。
→地域ケア会議や、サービス担当者会議、多職種連携会議の実績が必須になるのか?
○ どの歯科診療所がかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所なのかを国民にわかるようにしていくことが必要。
→院内掲示の徹底した義務化?
〇 周術期等口腔機能管理を実施する施設に関して、地域の歯科診療所が参加できる機会を広げるよう、推進を図るべきではないか。
→医科に情1の加算や口腔管理後手術加算以外にも、更なる加算を付与するのか?
○ 糖尿病や摂食嚥下障害などに対する診療など、医科歯科連携が必要な診療について、より連携を推進するような対応が必要。歯科から医科への診療情報の提供や介護施設やデイサービス等への口腔の情報提供などの重要性が高まってきている。
→情共や居宅療養管理指導について
○ 歯科標榜のない病院や介護施設におけるICTを活用した口腔機能管理など、地域の状況に応じたICTの利活用について検討すべき。
→加算で推進していくのか?
(安心・安全で質の高い歯科医療の推進について)
○ 感染防止について、令和2年度改定において一定の評価がなされたが、十分なものかどうか検討が必要。
→エアロゾルの話題は引き続きか?
○ 歯科医療機関における感染防止対策については、前回の改定で職員の研修を要件とすることで十分に対応したものと考えており、現行の特例的な対応との整理が必要ではないか。
→引き続き職員への研修は必須要件となると考えられる
○ 院内感染対策は初診・再診料の点数で推進するものではなく、研修や教育の充実で行うべきではないか。
→これは、1号側の意見で出ていましたね

地域包括ケアシステムに関する課題について各項目ごとに示しております。「生活の質に配慮した歯科医療の推進等」ということで、資料をまとめてあります。
(地域における歯科医療機関と施設・行政等関係機関との連携)
・ かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所に係る施設基準については、成人・高齢者に対する歯科医療に係る要件が比較的多く設定されているが、日本小児歯科学会の会員アンケートによると、当該施設基準の届出を行っていない歯科診療所においては、満たしていない施設基準の要件は、「歯科訪問診療関連」、 「歯周病安定期治療関連」等であった。
→小児専門歯科医院も小児のかかりつけであることから、実績によりなにかしらの特例が出てくるのか?
・ かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所に係る施設基準の届出を行っていない歯科診療所における、現時点で不足している施設基準の要件としては「過去1年間に歯科訪問診療1・2の算定回数、連携する在宅療養支援歯科診療所1・2に依頼した歯科訪問診療の回数が計5回以上」が72.0%で最も多くみられた。
→現状として、やはり訪問実績がネックとなっています。歯科訪問診療料の算定回数は増やせる先生は増やしておいて悪いことはないと考えます。
・ 施設基準の選択要件に「自治体等が実施する事業に協力」があるが、必ずしも明確に示されていないとの指摘がある。
→そうなんです
(医療機関間の連携)
・ 障害者に対する歯科医療については、地域の歯科診療所と歯科を標榜する病院等が機能分化・連携して提供されることが必要である。
→相互の加算はあるものの…
・ HIV感染に関連した口腔症状は比較的早期から発現することがあり、医科医療機関と連携しつつ、口腔症状に適切に対応する必要がある。
→総医、在歯総医の要件に組み込まれるか?
・ 新型コロナウイルス感染症の患者は、医科医療機関で治療が行われるが、炎症・疼痛等を伴う歯科疾患が生じた際には、医科医療機関からの依頼等に即応した歯科医療の提供が行われる体制を構築しておく必要がある。
→周術期等口腔機能管理4とかができる?
(安心・安全で質の高い歯科医療の推進のためのICTの活用、研修等)
・ 歯科診療におけるICTの活用については、ICTの活用が期待される歯科の診療形態として、Dentist to P with DH (Dental Hygienist)やDentist to P with Doctor等があり、検証結果を踏まえた対応が必要である。
→衛生士の場合には、有用性が確認されているため加算がつく?
・ 歯科診療は、唾液等の体液に触れる機会が多いことから、従前より標準予防策を踏まえて、感染予防の取組が実施されているが、今後、新たな感染症にも対応できるよう、必要な取組について、歯科医師や歯科医療機関の職員に対する研修等も活用しつつ、推進していくことが求められている。
→コロナに対する研修も入ってくる?

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