貧乏歯医者が金持ち歯医者になったわけ

歯科医療(その2)ナンバー5

歯周病安定期治療についての説明となります。歯周病安定期治療は歯と歯茎の境目の歯周ポケットの深さが4ミリ以上であって、一時的に病状が安定した状態にある患者に対して行われるものです。プラークコントロールや器具を用いた歯面の清掃、歯石の除去、噛み合わせの調整などが包括されています。また、算定回数、歯周病安定期治療(Ⅱ)の算定に必要な「か強診」の届出医療機関数を示してあります。現行、歯周病安定期治療(Ⅰ)と(Ⅱ)につきましては、包括される診療行為が異なっており、また算定に必要な施設基準の有無も異なっている状況となっています。
また、歯周病安定期治療(Ⅰ)(Ⅱ)のかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所、それ以外の歯科診療所の算定施設数、算定回数を示したものです。
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の令和2年71報告時点では、10,057医院でSPT 2算定回数は6月審査分で506,396回となっています。1医院あたり平均月50人のSPT 2が算定されていることになります。もちろん、平均ですのでバイアスがかかっていますが参考にはなると思います。

平成30年12月の歯周病安定期治療(Ⅰ)の算定施設数は、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)で3,887施設、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所以外(か強診以外)が10,391施設でありました。また、歯周病安定期治療(Ⅱ)は6,340回でありました。そして、 歯周病安定期治療(Ⅰ)の算定件数は、か強診が116,597回、か強診以外が263,394回でありました。また、歯周病安定期治療(Ⅱ)は387,370回でした。
1施設あたりの算定回数はSPT 1が、か強診で30.0回、か強診以外で25.3回、SPT 2が、61.1回という結果でした。
いずれにせよ、か強診以外でのSPT の算定が十分ではないという結果です。

歯周病重症化予防の推進について、歯周病重症化予防治療に関する資料です。歯周ポケットの深さが4ミリ未満と、歯周ポケットは改善しているものの、部分的な歯肉の炎症や歯茎の出血が認められる状態の患者に対して、歯周病の重症化予防を目的として行われる治療です。その算定回数等を示しています。
令和2年度の算定回数で、歯周病重症化予防治療 67,014回となっています。まだまだ、少ないです。今後も、適応を満たせば今のうちに算定しておいた方がよいのかもしれません。

歯周病の進行の特徴となります。
一般的に歯周炎は慢性疾患といわれているが、歯周組織の破壊は常に一定速度で進むのではなく、活動期に急速に進行するということ。また、 活動期か休止期かを1回の検査で診断する方法はまだ確立されておらず、通常、アタッチメントロスや歯槽骨吸収が急速に進行した場合を活動期、その部位を活動部位とよんでいます。

歯周病の特性や状態に応じた治療について説明するものです。歯周病は進行・再発しやすく、治癒には至らず一時的に病状が安定した状態になる場合があり、こうした患者に対しては状態に応じて、歯周病安定期治療や、また 歯周病重症化予防治療が行われるものです。歯周病安定期治療(Ⅰ)、歯周病安定期治療(Ⅱ)、歯周病重症化予防治療に包括している診療行為については異なっている状況です。

8月4日の中医協でも提供されていた資料ですが、医政局における「歯科口腔保健の推進に係るう蝕対策ワーキンググループ」の報告書からの抜粋です。下線部ですが、う蝕、虫歯について全てのライフステージを通じて、患者の状況に応じた歯科医療機関におけるう蝕の予防・重症化予防のための指導管理等が求められるといった記載があります。
以下に内容を記載します。
〇 わが国のう蝕有病率は、乳幼児・学齢期は改善傾向にあるものの、いずれのライフステージにおいても、依然として高い。
→C重防が出てくる?
〇 う蝕は単一因子による疾患ではなく、食習慣や生活習慣、家庭環境等の社会的要因や個
人のリスク要因等が複合的に重積して生じているものであり、 地域間や社会経済的な要因
による健康格差も生じている。
→環境格差の是正のための、小機能の重要性はますます大きくなるか?
〇 具体的なう蝕予防対策としては、フッ化物の応用 (フッ化物洗口、フッ化物塗布 、フッ化物配合歯磨剤等)、シーラント、歯科保健指導等が効果的であるとされている。
→積極的なフッ素やシーラントの算定は必要なことである
〇 さらに、う蝕は、適切な対策により発症を予防し、進行を抑制することが可能であることから、 全てのライフステージを通して、患者の状況に合わせた歯科医療機関におけるう蝕の予防・重症化予防のための指導管理等が求められる。 このような対応を早期に行うために、 生涯を通じた歯科健診の充実等を検討し、必要な場合には、かかりつけ歯科医等へ円滑につなげる体制の構築や保健指導の充実、う蝕の予防の指導管理等が必要な患者に十分対応できるようかかりつけ歯科医等への支援等を検討すべきである。
→C 重防が出た場合には、シーラント、フッ素、歯清は包括されるか?

う蝕の重症化予防を評価している項目をまとめたものです。
B000-4 歯科疾患管理料 フッ化物洗口指導加算 40点
〇 13歳未満のう蝕に罹患しているう蝕多発傾向患者。
(う蝕活動性が高く継続管理を要する者)
〇 患者又はその家族等に対して、下記について説明。
・ フッ化物洗口に係る薬液の取扱い
・ 洗口方法及び頻度
・ 洗口に関する注意事項
・ 薬液の取扱い等
→フッ洗の算定回数は1,640回と以前よりも減っています。これは、フッ洗とエ加の併算定は不可であることと、か強診以外ではフッ洗を積極的に算定していないことが原因かもしれません。
B000-4 歯科疾患管理料 エナメル質初期う蝕管理加算 260点
〇 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(※1)において、
エナメル質初期う蝕(※2)に罹患している患者に対して、管理及び療養上必要な指導を実施。
※1 歯科疾患の管理が必要な患者に対し、定期的かつ継続的な口腔管理を行う診療所であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出たもの
※2 エナメル質に限局した表面が粗造な白濁等の脱灰病変
※3 機械的歯面清掃処置やフッ化物歯面塗布処置は併算定不可
→算定回数は401,724回と着々と増えてきています。今後は小児専門歯科医院でも算定出来るようになるのかもしれません。
I031 フッ化物歯面塗布処置(1口腔につき)
・う蝕多発傾向者(110点)
・根面う蝕に罹患している在宅等で療養を行う患者(110点)
・エナメル質初期う蝕に罹患している患者(130点)
→フッ素塗布は以前と比較しても、増えてきております。それにより、今後はう蝕治療による補綴の点数に変化が起きるかもしれません。

 

う蝕の重症化予防の対象については現行、小児の小児のう蝕多発傾向者に対するフッ化物洗口指導やフッ化物歯面塗布処置は 13 歳未満が対象となっており、一方、う蝕に罹患しやすい歯の根のう蝕については、歯科訪問診療を行った患者に対してのみが対象となっており、現行、外来の高齢者等の患者は対象となっていません。
歯科訪問診療料算定した患者に対して、
名称:フッ化物歯面塗布処置2 在宅等療養患者の場合
対象患者:初期の根面う蝕に罹患している患者
の、算定漏れはありませんか?

3歳児、12 歳児のう歯の罹患状況などを示しております。
3歳児の一人平均う歯数は、平均2.90本(平成元年)→平均0.39本(令和元年)う蝕有病率は、 55.8%(平成元年)→11.9%(令和元年) と年々減少しています。
また、12歳児の一人平均う歯数は、平均4.26本(平成元年)→平均0.69本(令和元年)う蝕有病率は、 88.3%(平成元年)→31.8%(令和元年) と年々減少しています。
この、30年間の推移は国の描くビジョンと一致しています。ということは、機能管理も今後は…

先ほど出ました根面う蝕、歯の根のう蝕についての説明となります。
根面う蝕は、歯肉の退縮により露出した根面に発生し、高齢者に特徴的なう蝕。歯根は歯冠と異なり耐酸性の高いエナメル質に被覆されておらず、脱灰(歯の表面のリン酸カルシウムの結晶が溶出する現象)されやすいということです。
高齢者における根面う蝕(未処置及び処置)の有病者率は、各年齢層で、有病者率に大きな差はみられないです。
→だからといって、放置していいということではなく、60-69歳の間で根面う蝕の管理をし、くいとどめることが必要ということだと思います。どうやって?口機能?包括検査?

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