保険のカルテに関しては、以前のコラムにて述べたように【歯科医師は診療した際には、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない】とある。
そしてその記載事項は、
1.診療を受けた者の住所、氏名、性別及び年齢
2.病名及び主要症状
3.治療方法(処方及び処置)
4.診療の年月日
である。
そして当然、自費カルテと保険カルテは別々に作製・保管しなければならない。
では、自費カルテにはどのような記載をしなければならないのか?
結論から言うと、保険カルテと同様に前述した項目を記載する必要がある。
なぜなら、歯科医師法で定められているからだ。つまりこのカルテ記載に関しては、保険診療だけの事を言っているのではなく歯科医師が行う全ての医療行為について定められている事になる。
要するに、自費診療も右に同じという事だ。
ただし、個別指導においてはニュアンスが少し異なる。その現場においては自費診療分のカルテ記載が不足していたところで、前述した項目についての記載の充実を指導する事くらいだからだ。なぜなら、ビタ一文返還の対象となる指摘事項が無いからだ。
指導でみられるのは、保険診療と照らし合わせて、明らかにアカン混合診療や二重請求をしていないか、て事や。
これは実際に指導を指揮した立場からすると、思った以上に多い事例だ。悪質な確信犯は論外だが、全く気付かずそういった請求をしているケースも目立つから要注意だ。
その辺りの見極めは、被指導者の先生を見れば一目瞭然や。経験がモノをいうとも言えるが、そうでなくとも空気で分かる。もう分かる。そういう先生かどうか、が。
だからそういった証拠となるモノを持参する以上は、ゴマカシは通用しないと思って頂いた方が望ましいだろう。持参する以上は、や。
話を戻すが、だからといって自費カルテの記載はテキトーにしとけばエエってもんではない。
なぜなら各関係機関には、自費診療に関わる患者トラブルの相談が多く寄せられ、カルテ開示を求められる機会も保険診療より多いのが現状だからだ。
まあこういったトラブルを経験した事がおありの先生なら頷いて頂ける事だろう。
そして開示されたカルテが処置名と金額の記載しかなければ、患者に不要な不信感を与えるばかりか何よりも法的な争いとなった時には不利になるから油断は禁物やで。
記載不足であれば歯科医師法に違反しているといった難癖をつけられる可能性がある。裁判というものは一度経験すれば分かる事だが、難癖の付けあい、揚げ足の取りあいや。
余計な可能性は排除する事が予防策の一つとなる。
出来る事なら、保険、自費診療の区別なく、日頃より歯科医師法上での【適正な】記載を心掛けておいて欲しい。