技官サイドから見た【指導】

自主返還~個別指導における指摘事項~③

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そもそも、【自主返還】とはいかなるものであるか?

 

 

これは実際に経験しない限り、皆目見当もつかない項目であろう。

 

また、個別指導を実際に受けた先生も【自主返還】の本質を理解しないまま、行政側から言われるがままに返還をしているケースが目立つ。

 

 

【自主】という曖昧な表現がされているだけに向こうのサジ加減一つでどうとでもなる項目ではあるが、それでもおおよそのラインというものを理解しておかなければ、医院として余分な損を被るだけやで。

 

 

ここで日和ってしもたら、まさに泣きっ面に蜂やで。これから取り戻さなアカンもんが、余分に増えてしまうだけや。

 

 

それを最小限にするメソッドもある訳やけど。細かい事はここで言える話ではないので、改めてその仕組みだけでも理解しておいて頂きたい。

 

 

 

【自主返還】とは指導の結果、算定要件を満たさない請求と指摘された事項について医療機関が自主点検を行い指摘事項に該当する部分の診療報酬を保険者に変換するというものである。

 

請求間違いはもとより、カルテ上の根拠が乏しいもの(記載不足、質疑応答への誤回答など)不必要と判断された検査・投薬なども対象とされる。

 

 

要するに技官の胸先三寸で、いくらでも増える可能性があるという事だ。

 

 

ちなみに具体的な返還対象は、指導後1カ月ぐらいに指導結果とともに文書で通達されてくる。

 

 

返還は、厚労省通知では指導月の前月から1年以上と定めているが、「通常のケースは1年分・特に悪質な場合5年分」等と取り決めている都道府県もある

 

 

従って、自分の地域の各団体に問い合わせる事も対策の一つとなるで。

 

 

返還分はその医療機関に支払われるべき診療報酬から差し引かれる形で納める。金額が非常に大きい場合は医療機関から分割払い等で直接支払基金等に返還する場合も生じる。

 

 

 

個別指導を受けた場合は、自主返還無しで済むケースはまずあり得ないと考えとかなアカン

 

 

まあ、制度上【自主】という名は付いているが、実質【強制】のようなものだ。

 

ただ、返還は指摘されたそのままではなく、あくまでも合意したものについて行うという点には留意しておいてな。この微妙な表現を理解する事で、結果的に大きな差が生まれる事が往々にしてあるんや。

 

 

直接的な経済制裁でもあるので、納得できないまま従っていると、その後の萎縮診療にも繋がり、ひいては医療機関経営をも脅かしかねない。

 

 

口を酸っぱくしてお伝えしている事ではあるが、個別指導を受けた後、絶対にしてはいけない事の一つが萎縮診療や。

 

 

【保険診療のルール】の本質を理解し、診療がストップしたため被った損害や返還金を、可及的速やかに取り返して欲しい。

 

 

そして、医院の組織力アップ、売り上げアップに繋げて頂きたい。

 

 

 

補足として、新規指導でも自主返還が求められるケースがある。

 

しかしこれは行き過ぎた指導として、各団体が改善を求めている。

 

 

まあ、もっと悪いケースでは新規から個別指導に移行したりするんやけどな。

 

 

新規指導と思ってタカ括ってたら、痛い目見るで。油断は禁物という事で、よろしいか。

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