悪夢の院内運動会

悪夢の打ち上げ㉙

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ひとまず、愛子さまの身の安全を確保しなければならない。

 

オレが実家まで送っていけばエエんか?いや、何でオレが自腹切らなアカンねん。

 

 

こういう時ほど、自身のケチな根性が見え隠れする。しかしこれは、単なる理不尽や。それが当たり前だった学生時代ならともかく、この状況で耐える必要は無い。

 

 

しかし、この時間からホテルに宿泊できるんか?

 

とりあえず、近くのビジネスホテルに問い合わせてみる。ファンキーなおばちゃん社長のホテルや。

 

 

 

「い、今からでも泊まれますか・・・?」

 

 

こういう時は、あえて下手に出ればエエのか強気に押せばエエのか、よく分からなくなる。

 

しかし、とりあえず今は愛子さま優先でいかなアカン。

 

 

返事は、『YES!高須クリニック』や。この融通のきく雰囲気、好きやで。

 

という事で、宿は決定した。しかし問題は、ここからや。

 

 

とりあえずフラフラの愛子さまに肩を貸して、移動を試みる。気が付けば、皆とっくに部屋を後にしている。薄情過ぎて泣けてきたで。

 

 

千鳥足だが、意識はしっかりしている。そういう意味での心配はない。

 

しかし酩酊状態の女性を連れているだけに、すれ違う人達から漏れなく不審者としての視線を浴びる。

 

 

ちゃう、ちゃうんや!

 

 

 

何でもそうだが、人にはそれぞれ事情ってもんがある。明らかに不審な人間は、見れば分かるはずや。好奇の視線に耐え切れず背中を丸めるから、不審者扱いされるんや。何も悪い事をしていなければ、堂々と胸を張ればエエ。

 

誠意を持ってすべき事に集中すれば、何も不審な事は無い。

 

 

しかし世の中、どこにでもお節介はおるもんや。いらん気を利かせて、通報するんや。こっちは何も悪くないのに。で、ホンマの悪を見逃しとるんや。

 

痛い目を見るのは、善良な人間と相場は決まっとる。

 

 

・・・まるで個別指導みたいな気分になってきた。

 

 

 

そんな事を考えながら、何とかホテルに辿り着いた。

 

オレが芸能人やったら、ばっちり文春砲食らって誹謗中傷されまくる展開やで。

 

 

昔何かの本で読んだ事あるわ。【事実かどうかは問題じゃなく、疑いがかかった時点でアウトな事もある】、て。

 

 

歯科医師にとって、こっち系のスキャンダルは命取りや。下手したら歯科医師免許に影響してくる話やで?

 

 

 

「先程予約しておいた須藤ですが・・・」

 

 

フロントから訝しげな表情をされる。そりゃそうか、こんな時間に酔っぱらい抱えて来た客や。不審に思われても仕方ない。しかし、それこそホテルなんて有象無象が訪れる場所やないか。

 

 

こんなん、見慣れてる光景やろ。と自分を勇気づけながら、偽名で予約しておけば良かった、と後悔の念に駆られた。

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