歯周治療に関わる院長先生、勤務医の先生、衛生士さん、学生さん必読の虎の巻。
歯周治療の基礎基本です。
歯周治療がより良くなるように。
では、始めていきます。
歯周病とは何ですか?
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歯周病は歯肉病変と歯周炎とに大別されます。
さらに,歯周病にはほかに壊死性歯周疾患,歯周組織の膿瘍,歯周―歯内病変,歯肉退縮,および強い咬合力や異常な力によって引き起こされる咬合性外傷が含まれます。
歯周病検査(初回)は何のためにするのですか?
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診断と治療計画立案のために行う検査です。
歯周基本検査は何をするのですか?
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①ポケット深さ(プロービングデプスprobing depth:PD):1歯1点以上で測定し,記録します。
②BOP(Bleeding On Probing):プロ~ビング後30秒以内に出血してきた部位を記録します。
③歯の動揺:Millerの動揺度の分類に従い0度から3度でします。
以上の検査をします。
歯周精密検査は何をするのですか?
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①ポケット深さ(プロービングデプス):1歯4点以上で測定し記録します。
②BOP
③歯の動揺
④口腔清掃状態:PCR(plaque control record)を測定し記録します。
以上の検査をします。
スケーリングとは何ですか?
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歯に付着した歯肉縁上のプラーク,歯石,その他の沈着物を,各種スケーラーを用いて機械的に除去することです。
スケーリング・ルートプレーニング(SRP)とは何ですか?
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歯周病罹患歯根面に付着した歯肉縁下歯石,および粗造で細菌やその代謝産物を含む病的なセメント質を除去し,生物学的に為害性の無い滑沢な根面にすることです。
歯周病検査(SC後、2回目)は何のためにするのですか?
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プラークコントロール,スケーリング,外傷性因子の除去や是正などを行った後に,その治療効果を調べる目的で行います。
歯周病検査(SC後、2回目)の結果、どのような治療をするのですか?
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必要がある場合にはSRPへと進むか,歯周病重症化予防治療あるいはメインテナンスを選択するかを決定します。
歯周病検査(SRP後、3回目)は何のためにするのですか?
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SRPを含む一連の歯周基本治療が終了した時に行う検査です。
歯周基本治療の効果,治療に対する反応などを再評価し治療計画を修正します。
歯周病検査(再SRP,4回目)は何のためにするのですか?
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歯周基本治療後に再度SRPなどを行った場合に歯周病検査(再SRP,4回目)を行い,
その効果の確認を行います。
その検査結果によって歯周病重症化予防治療,SPTまたはメインテナンスに進むか歯周外科治療へと進むかを検討します。
※安易にSRPを繰りかえしてはいけません。
歯周ポケット掻爬術とはどんな手術ですか?
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歯周ポケット内壁の炎症病巣とプラーク付着・歯石沈着している汚染歯根面を徹底的に掻爬,除去し,
歯根面の滑沢化によって歯根面と歯肉壁面間とに新しい付着を図り,
歯周ポケットを減少させる手術です。
※比較的侵襲が少ないので,高齢者や合併症を有する症例にも適応可能です。
歯肉剥離掻爬術(フラップ手術)とはどんな手術ですか?
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歯肉弁(粘膜骨膜弁・全層弁)を剥離・翻転して直視下で不良肉芽を除去し,
汚染歯根面のスケーリング・ルートプレーニングを行い,
さらに必要に応じて歯肉や異常な歯槽骨の形態を整え,
歯肉弁を適切な位置に復位縫合し,
再付着をはかる手術です。
歯周病検査(外科治療前)はどのような検査を行うのですか?
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歯周精密検査を行います。
歯周病検査(外科治療後)はどのような検査を行うのですか?
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歯周精密検査で評価します。
歯周病重症化予防治療とは何ですか?
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SCやSRP後あるいは歯周外科治療後の歯周病検査の結果,
ポケット深さが4mm未満に改善したが,
歯肉に炎症又はBOPが認められる場合に,
歯肉炎から歯周炎への移行や歯周炎の重症化を抑制するために行う
継続的管理としての治療です。
なぜ歯周病安定期治療(SPT)をしたのですか?
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SRP後あるいは歯周外科治療後の歯周病検査の結果で
4mm以上の歯周ポケットが散在するが,
歯肉に炎症が認められない(あるいはBOPが認められない)
ために
病状安定と判定したためSPTへ移行しました。
メインテナンスとは何ですか?
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歯周病治療後に歯周ポケットが4mm未満となり,
歯肉に炎症が認められない場合に,
治癒と判断し,
新たに歯周病が発症しないように継続的な管理を行うことです。
メインテナンスは保険でできますか?
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自費になります。
以上です。