悪夢の院内運動会

悪夢の打ち上げ㉚

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フロントでキーを受け取り、部屋へと向かう。

 

オレは一体、何をやってるんやろ・・・という虚脱感に襲われるが、無事彼女を部屋へ送り届けなければならない。

 

 

それにしても深夜のホテルって、こんな静かなんや・・・抜き足差し足を意識して廊下を歩く。幽霊の一人や二人出てもおかしくない雰囲気や。

 

ホテルや学校などには幽霊がよく出ると言うが、何となく分かるような気がする。一昔前は夏になると必ず放送されていた心霊番組で、廃墟や廃旅館に出向くコーナーがあったけど、アソコほどではないか。

 

 

しかし、もしオレが幽霊ならあんな恐ろしいとこでずっと待機したくはないけどな。自分がオバケになっても恐いもんは恐いと思うんや。幽霊になってまで、恐い思いしたくないわ。

 

 

知らんけど。

 

 

 

そんなどーでもエエ事を考えているうちに、部屋へと辿り着いた。カードキーをタッチし、部屋へと入る。真っ暗や。当たり前や。入口でカードキーを差し込み、部屋へ明かりを付ける。

 

もう一息や。

 

 

しかし最近のビジネスホテルは、随分と綺麗になったもんや。夜遊びメインの旅なら、こんなとこで素泊まりするので十分やで。

 

 

愛子さまをベッドに運ぶ。幸いな事に、まだ意識はある。しかし、オレの事を認識しとるんか?最後の力を振り絞り、必死のパッチで態勢を整える。風邪をひかぬよう、布団をきっちり足元からかける。そしてさりげなく用意しておいたミネラルウォーターを枕元に置く。

 

 

よっしゃ、オレは三つウエノ男や。

 

 

 

・・・ようやく、ようやくオレの一日が終わった。

 

 

{須藤先生~、アリガトゴザイマス。}

 

 

ハッキリと【須藤先生】と言っている。何か嫌な予感がするで・・・

 

 

ナニワトモアレ、清々しい気持ちでホテルを後にする。ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、明日は朝イチでいつも通り仕事や。

 

日本代表がドイツやスペインに勝った時みたいに、「明日祝日にして下さい」とは言われへん。絆を深める親睦会とは言っても、今日のは遊びやからな。

 

 

そう考えているウチに、患者様ファーストのハートに火が付いた。

 

 

 

タクシーに乗り、帰宅する。シャワーを浴び、一日を反芻する。

 

 

ロクな一日では無かったで。

 

 

本来ならここでバタンキューな展開やけど。ほぼ仮眠のような睡眠を取り、出勤しなければならない。寝坊したら、全ては水の泡や。

 

てか、若い頃って何であんなにも元気やったんや?ナイスミドルになった今ではとてもじゃないが同じ事は出来ない。

 

 

若さや体力的な要素だけではないのだろう。病は気から、とはよく言ったもんやで。

 

とにもかくにも、翌朝はスッキリや。頭は痛いものの、まあご愛嬌や。

 

 

そんなこんなでいつも通り出勤する。すると、何やらスタッフがザワついて・・・

 

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