悪夢の院内運動会

悪夢の打ち上げ㉞

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院内運動会時のマンギョンボン号みたいなフレーバーが漂う院内へ、突撃!隣の晩ごはんや。

 

 

ヨネスケみたいに図々しくお邪魔したところ、入ってすぐの待合室で、C歯科医院の女性スタッフ達が青白い顔をして落ち着きのないフレーバーを醸し出している。

 

 

入るや否や、皆が一斉にオレの顔をガン見してきた。すると、その内の一人があからさまに安堵の表情を浮かべた。

 

ようやく生贄がきたか、とマヤ文明のエラいさんみたいなあくどい顔をした瞬間を、見逃すはずがなかった。

 

 

知らんけど。

 

 

 

どうやら、ある事ない事吹き込まれているという前提で戦場に赴く必要があるようだ。

 

 

責任を擦り付けてきた際は、愛子さまをあっさり見捨てて帰った事等、洗いざらいチクったるからな。他人に攻撃する時は、自分も斬り付けられる覚悟が必要やで。

 

 

運動会時の鉄砲玉仲間もおる。相変わらず、憐みを帯びた目でオレを流し見してくる。

 

なんか大衆演劇の役者みたいやで。

 

 

何にせよ、こういう時ほど人間の本性が垣間見えるもんや。他人を犠牲にする事に対して一切の躊躇なく、とにかく自己保身に走っている事が手に取るように分かるからだ。

 

 

まあ、俺も逆の立場ならそうするか。人間はそんなに綺麗な生き物じゃないからな。

 

 

知らんけど。

 

 

 

すると、我々の到着を察知したC先生が、院長室と思しき部屋から出てきた。

 

 

一目見てそれと分かるほど、やつれ切った顔をしている。人間って、たった一日でこんな老けれるんか?

 

決して他人事ではないと感じ、思わずゾッとした。さらにムンクの叫びみたいにやつれたC先生を見て、思わずゾッとした。

 

 

 

<Cセンセ!どんな塩梅や?>

 

 

院長が、陽気に尋ねる。この空間で一人だけハワイのフレーバーを醸し出している。

 

 

ハワイに行った事ないから、知らんけど。

 

 

 

≪いやぁ~、なかなかのプレッシャーやで。聞く耳持ってるけど、聞く耳持ってへん聞く耳してるって感じやわ。≫

 

 

窪塚洋介みたいな言い方するな。

 

 

 

<そうか・・・>

 

 

院長がちらっとこちらを見てくる。LINEの、【ちらっ】のスタンプみたいな見方せんといて下さい。

 

 

いや、ちょっと待て。これからオレは、どういうキレキャラの相手をせなアカンのや?

 

 

 

「C先生、僕はどのような手筈で対応すればエエのでしょうか?」

 

 

軽く打ち合わせしようと試みた。

 

 

 

≪んなもん、あの日須藤先生が見た事を説明してくれたらよろしいわ。一体、何したんや?≫

 

 

だから、何もしてへんって。責任転嫁どころか、完全に犯罪者扱いやないか。

 

 

どうやらウチの院長含め、援護射撃は期待できそうにない。ミュージックステーションでタモリ相手に何一つ面白い事を喋らない稲葉浩志に対して、一切の援護射撃をしないTAK松本みたいやで。

 

 

知らんけど。

 

 

 

それだけならまだしも、下手したら相手方の味方になりそうな気がしてきた。

 

それだけは止めなアカン。

 

 

 

「じゃあ、僕一人でカタ付けて来ますわ。」

 

<≪それはアカン!>≫

 

 

2人仲良くハモらんといて下さい。

 

 

何かいらん事言うんちゃうか、という顔をしている。

 

大丈夫です、事実しか話しませんから。

 

 

しかし重やんも言っているとおり、こういう時はまず数で勝る事が重要や。相手はご両親の2人や。つまり、3対2の構図や。

 

 

とりあえず数的有利を頼もしく思い、マンギョンボン号の本丸へ突撃!隣の晩ごはんや。

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