「例のVシネがしゃしゃり出てきたんか?」
<せやねん。>
「ケバ神がマヒって以来しばらく登場せんかったから、てっきり別れても好きな人かと思ったわ。」
<あの手のチンピラは、そう簡単にスケと別れる事はないからな。予想通りと言えば予想通りの展開やで・・・>
「いきなりクンロクかましてきたんか?」
<せや、いきなりな・・・>
「カチコミかけられたんか?」
<せや。>
「おぅ・・・エエやんエエやん。」
<どこがエエんじゃい。何で技官って、そんな性格悪いんや。>
「性格悪くならんと、いろいろ良心の呵責に苛まれるだけやからな。郷に入りては郷に従え、てヤツや。つまりは単純に、しゃーないんや。」
<・・・まあそんな事はどうでもエエわ。あれは、とある日の出来事やった。>
「診療中での出来事か?」
<せや。穏やかな空気が診療室に流れている中、いきなり待合室から怒鳴り声が聞こえてきてな。>
「すぐにVシネって分かったんか?」
<いや、どこぞのパぺポと思ったんや。だから、すっかり余裕かましとってな。>
「で、意気揚々と待合室へ出向いた訳や。」
<おう。いっちょ良いとこみせたろか、と思ってな。>
「すると、そこには・・・」
<まさかのVシネや。>
「まさかのご対面か。バラ色の珍生やないか、ホンマ素敵やん。」
<だから、それはやめんかい。>
「目が合った瞬間に、ビビビときたか?」
<時が止まったわ。3秒くらい地球の時間がストップしたわ。>
「まあ気持ちは分かるけどな。一番会いたくないヤツと不意に顔合わせた瞬間ほど、バツの悪いもんはないし。」
<これまでの色んな思い出が走馬灯のように駆け巡ったわ。>
「オペ中、一緒に縦揺れしてた事とか?」
<全部や。一瞬のうちに脳内を駆け巡ったわ。>
「臨死体験をした訳やな。」
<地球の時間が加速した気がしたわ。>
さっきから、ジョジョの奇妙な冒険みたいな事言うな。
「で、どう絡まれたんや?」
<その前にこっちから先制攻撃せなアカンと思ってな、アポなしでは対応できない旨を毅然と伝えたんや。>
「いきなり火にガソリン注いどるやないか。」
<こういう時は一歩でも引いたらアカン。舐められたらそこで試合終了ですよ。>
「そしたらVシネはどういうリアクション取ったんや?」
<〔人のスケをマヒさせといて、エラい言い草ですね?〕て予想外の角度からきてな。>
「インテリヤクザみたいやん。てか、どいつもこいつもスケって言うな。」
<そんな事はどうでもエエんや。そっからもう、大変やで・・・>