Column


「わかった」
前日であがりカルテが出来上がっていくと皆のモチベーションも上がってくる。
ようやく30名分のあがりカルテが出来上がった。
「ひとつよろしいか」
「なんや」
「おれんとこ、訪問診療にいっとるんやけど、『居宅療養指導管理費』は見られるんか」
「あのなあ、それは介護の点数やないか」
「そやけど」
「んなもん見られるわけないやろ」
「ホンマか」
「ホンマや」
「なんでそんなに言い切れるんや」
まさか、最後の最後でこんな話をするとは思わなかった。
「個別指導通知、よう見てみ。そこに根拠法が書いとるやろ。健康保険法とか」
「あぁ」
「そこのどこに介護も見ますよ。って書いとるんや」
「いや、書いてへん」
「やろ。てことは介護の『居宅療養指導管理費』は見ませんよ。って言われてるようなもんやないか」
「えー、そうなんか」
「前日になって今さらかいな」
「おれ、この書類整理して損したな」
「無駄な作業やったな」
「まあエエわ、とりあえず無事に用意ができたんやし良かったやないか」
「大丈夫か」
ひと通り、ダンボールの中に当日の持参物を入れ込むとホッとする気持ちと、これで大丈夫なのか、という気持ちが入り混じりあう。
「安心して指導に臨んだらよろしいわ。てか、今日は早よ帰って寝なあかん」
だいたい、指導日前日は徹夜ではなく、夜が明けるまで準備することが多々ある。それはそれで仕方のないことだが、次に大事になってくるのは少しでも睡眠をとってアタマをシャキッとしておく必要がある。
1時間でも寝るとスッキリするし、アタマが回るようにもなる。
「重田先生からの質疑応答集、読んでたら寝られへんかもしれん」
いつも、指導対象カルテが選定されると、“なぜ、このカルテが選ばれたのか?”、また“このカルテからどのような質問がされるのか”を想定して、想定問題集を作成するようにしている。
そして、大体の先生はそれに答えることがなかなかできない。
これらを答えられるようにして初めて本番の質疑応答もスムースにできるようなり、指摘事項の数も減らすことができる。
当然ながら指摘事項の数が減ると指導結果もそれに伴ってくるし、もちろん返還金にも影響してくる。
そのため、前日などは問題集を作成する時間はないがせめてポイントだけは伝えるようにしている。
「今日は誰が行くんや」
「オレと勤務医の先生や」
「その先生、大丈夫か」
「大丈夫や、口が固い」
基本的に個別指導は1人で行くよりも複数で行ったほうが良いことが多い。
まず、横に誰か居てくれるだけで精神的負担が楽になる。


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