Column


「ドクターがレセコン入力して、受付の子がプリントアウトしたのちにドクターにチェックしてもらい、印鑑を押してもらってますで」
「そうですか、じゃあ基本はドクターがレセコンに治療内容などを入力している、ということでよろしいですね」
と事務官が院長のほうを見て回答を求める。
そうそう、事務官の怖いところは一つ一つ、言質を取っていき、辻褄の合わないようなところが出てきた時点で徹底的に追求する。
技官は歯科医学的な話しかしないのでなんとも思わないが、事務官は細かい事務的な話を詰めてくる。技官よりもこっちのほうがよっぽど怖い。
「では、月末や月初めに行われるレセプト請求のほうはどのようにされていますか」
患者の治療の流れ図ととレセプト請求方法の流れ図は個別指導通知に添付されている書類の中にその流れ図を記載するように求められ、指導前に予めFAXを送るように言われている。
それでもそれを聞いてくるということはカルテの内容ではなく、2号カルテや日計表、厚生局が持っているレセプトの点数に相違が見られたときに下手な言い逃れができないように脇を固めてきているのだろう。
この質疑応答をしている間、横で若手の事務官が電卓を叩いている。
厚生局が持っているレセプトの点数とカルテの点数が一致しているか電卓を叩いてチェックしているのだ。
その音が妙に耳に障り、質疑応答に集中できない。
個別指導準備でよくあることだが、指導対象患者に返戻通知があったり、増減点通知があったりで請求点数が変わってしまっていることがある。
そうなると、どの点数が正しい点数なのか、わからなくなってしまったりすることが多々ある。
どの医院も過去に請求したレセプトを保存していることはあまりない。
たまにレセコンから過去のレセプト請求データをバックアプしてもらい、そのデータから突合作業をおこない、間違いのないようにする。
でも、大体の医院はそのようなデータがないこと多い。
それだけじゃない。カルテ整理作業をしている最中に操作ミスをしてしまい、知らぬ間にビミョーに点数がずれてしまうことがある。
厚生局が持っているレセプトの点数と私たちが持ってきたカルテの点数に相違が見られると、当然ながらカルテ改ざんを疑われることになる。
私たちは決してそのようなことをしていないので反論はするが、その場合、「なぜ、点数が変わってしまっているのか」を回答する必要がある。
回答次第ではドボンになってしまうのでここのところのやり取りは何べんも練習をおこない、間違わないように徹底して注意している。
ココも院長が私に答えるように目配せをしてくる。
「先生にレセプトチェックしてもろうてから、レセ、出してますで」
事前にFAXした流れ図を思い出しながら回答する。
ここはできるだけファジーに答えて、レセプトとカルテの点数の不一致が生じたときに言い訳できるように備えておく必要のあるところだ。


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