Column


「ちなみに診療明細書の発行は」
意外にも大きな歯科医院でも、そしてクリーンな歯科医院でも、この診療明細書を出していないところが多かった。
個別指導では必ず聞かれる質問でもある。
そして、技官や事務官の質問には正直に答えておく必要がある。
バカ正直には答える必要はないが、ウソもついてはいけない。
ご多分に漏れず、この歯科医院も診療明細書を発行していなかった。
そのため、個別指導3週間前くらいから急きょ、本格的に発効するようになった。
「もちろん、しっかりと出してますで」
「そうですか」
「そうですわ」
もちろんいつからかは聞かれていないので細かくは言う必要はない。
院長を横目でみやると目が泳いでいる。
これくらいで泳いでいたらキリがない。
「では、患者窓口負担金がない患者に対してはいかがですか」
毎度まいど引っかけてくる。
「窓口負担があるなしに関わらず、ウチは機械的に出すようにしておりますわ。ねえ、院長」
ちょっと院長に話を振ってみる。
「え、あ、あぁ。うちはとりあえず出すもんは出しておりますで」
院長のおどおどした感じが目についたのだろう、事務官が院長を食いにかかる。
「じゃあ、要らない。と言われた患者にはどうしておりますか」
「え、…」
この質問も想定問題集で練習したはずだ。
「…たしか、要らないんやったら、渡してませんけど」
思い出すように問答する。
明らかに挙動不審な感じだ。でもまあ、間違ってはない。個別指導初心者っぽくてかえって良いかもしれない。
回答自体は間違ってはいないが、事務官は明らかに院長からあげ足を取る気満々だ。
「じゃあ、要らないといった患者さんの明細書発行加算の算定はいかがですか」
この事務官はかなりのイジワルだ。
そしてこの質問までは想定していない。
院長がアップアップでワシに助けを求めてくる。
まぁ、院長に話を振ったワシも悪い。
ここは助けて船を出そう。
「うちはアレですわ。要らんと言われたら出しませんし、そのように張り紙もしてますわ。ついで言うたら要らんから言うて、明細書発行加算を算定しないこともありませんで。いる要らない関わらず、加算は算定してます」
「そーですか」
「そーですわ」
今回の事務官はハズレだったみたいだ。
普通は明細書くらいでこんなに細かくは聞いてこられたことはない。
ワシもどうでも良いところで院長に話を振ったのは悪かったが、院長がおどおどしているからといってここまで食いにかかる必要もないところだ。
まあ、イジメたくなる気持ちも分からなくはないが初心者相手に大人げない。


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