Column


続いての質問。
「歯科用金属はどうしてますか」
昔は歯科用金属を脱税に利用したり、ニッケルやコバルトをパラ請求していたこともあったが、ここは足がつきやすいうえに、やり方が古いので最近は誰も歯科用金属で不正を働くものはいない。
「歯科医院で購入して技工所に渡してますで」
「そうですか、金属購入伝票はどれですか」
毎回思うことだが、この納品伝票をみたところでパラの購入量が少ないのか、もしくは多いのか、事務官が判断できるとは思わない。
これはその歯科医院の全ての患者の自費を含むカルテと技工納品書、と突合させない限り、購入量と見合っているのかどうかは判断できないはずだ。
昔、仲良くなった事務官に聞いたことがある。
「これ、たった30名のカルテ持ってきただけでパラ金属の購入量が適正かどうか判断できないんちゃいますか」
「私たちは購入量が適正かどうかを調べているのではない。パラの流れをみているのだ」
…、パラの流れって。材料屋でパラを買って技工所に渡しているだけやのに。
事務官は大変だ。つくづく思った。
歯科材料の納品伝票は相変わらず、見られることはない。
毎度まいど、持ってきても見られるのは金属納品伝票だけである。
私自身の個別指導でも一回も見られることはなかったし、私がお手伝いさせてもらった歯科医院も同じように見られたことはなかった。
初めの頃は接着性レジンセメントの購入履歴があるか、など確認するのかと思ったものの単なる思い過ごしでしかなかった。
まぁ、仮にそんなところを見たとしても返還金は微々たるものになるのだが。
歯科用金属の納入伝票をサラッと見ながら次の質問に移る。
「歯科衛生士はどのような業務をしておりますか」
出た。予想問題集にもあった内容である。
これくらいは院長先生に答えてもらおう。
歯科衛生士業務は非常にファジーなところである。
そして意外にも技官によっても見解が分かれるところでもある。
「衛星実地指導のみさせております」
「他は何もさせてないの」
ここで院長がワシに助け舟を出してくる。
少々早いような気もするがこの質問は院長先生にとっては想定外だったみたいだ。
とりあえず、助け舟を出さずに様子を見てみたい。院長の実力が試されるときだ。
「うちの歯科医院の方針としては歯科衛生士の衛生士業務は専ら実地指導のみで、その他後片付けや患者誘導くらいはしてもらっております」
そうだ、よう言うた。この院長は筋が良い。
「そうですか、別に歯周組織検査やスケーリング、機械的歯面清掃になんだったらSRPもしても構わないんだよ」
さーっと、2号カルテを反芻する。
たしか歯科衛生士が機械的歯面清掃を行えば、歯科衛生士の名前を記載しておく必要がある。
しかし、今回の患者のカルテにはその記載がなかったはずだ。
ちょっと、間をおいた後に院長が答える。
「いえ、させておりません」
事務官が残念そうな顔をする。


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