Column


院長は今回の個別指導は初めてだという。
そのため、童貞感がハンパない。
しかし、その童貞は相手にとっては好印象にもなる。
それとは逆にワシは何べんも受けてきたので童貞感は無くなってしまった。
以前、新規指導を受けに行ったときに事務官から
「おたく、初めてやないね」
などと言われた。
何も言わずにニコッと笑顔で返すと事務官も口角はあげていたが目は笑っていなかった。
個別指導ではヤリちん男は嫌われる傾向にある。
やはり、色々な誘導尋問を仕掛けていって童貞君を弄びたいのだろう。
ワシも気持ちは分からなくもない。
歯科衛生士業務は診療の補助で、診療の介助が歯科助手の仕事になってくる。
何をもって補女なのか、そして介助と補助の線引きはどこからなのか、キチッと峻別できる人間がこの世にはいない。
なんとなく「助手は患者の口の中を触るのはダメだけど、衛生士ならOK」などのようなファジーな都市伝説が出来上がっている。
その都市伝説を信じてしまったがために
以前、「助手には何をさせておりますか」という質問に
「バキュームなどを持たせております」と
自信満々に答えると
「バキュームは患者の口腔内に触れる恐れがありますのでそれはダメです」
と指摘を受けたことがある。
バカバカしいと思ったが、自分でもなぜ「受付をさせてます」などと適当に答えりゃ良かったのに、と後悔したことも覚えている。
他に衛生士業務に関しても
「衛生士に歯周組織検査やスケーリングをさせることは歯肉からの出血が認められることになるのでこれは観血的処置にあたり衛生士の業務範囲を超えています」
という訳の分からんことをいう技官もおれば、
「診療の補助としてのSRPは大丈夫です」という技官もいる。
「診療の補助としてのSRPはなんだ」と聞き返したが
「補助は補助だろ」といかにも役人風な答えしか帰ってこず、言い出しっぺの本人もよく理解していない感じだった。
逆に技官によってここまで認識に差が出ると個別指導用の回答が必要になってくる。
それよりも衛生士業務で一番怖いことは衛生士業務記録簿である。
個別指導の持参物の中には必ず「衛生士業務記録簿等」が入っている。
平成28年の保険改正で「衛生士業務記録簿」が「衛生士業務記録簿“等”」に変更された。
つまり、実地指導の患者提供用紙控えをもって衛生士業務記録簿とみなすことができるようになっている。
そのため、衛生士業務記簿が実質的に必要ではなくなった。
しかし、それでは終わらないのが個別指導の怖いところでもある。


一覧に戻る