Column


てか、なんでニッケルとコバルトの致命的なミスをしたのか、謎だ。
その答えを技官が教えてくれる。
「まあまあ、ニッケルもコバルトも保険点数は一緒ですし、単なる請求誤りでしょ」
なるほど、点数が一緒だったのでチェックから漏れてしまっていたのか。
以後は気をつけなければならない。
「そうですそうです。点数も一緒どころか、技工所からの請求金額も一緒やから気付きませんでしたわ」
重鎮先生も調子がエエ。デブやったらもうちょっとどっしり構えたらどうや。
「そうなんですね。じゃあ、これは単なる請求誤りということですね」
これで話が終わろうとした瞬間に事務官が口を挟む。
「いや、やっぱり私は納得いきませんわ」
「…」
「単なる請求誤りってなんですか、点数や金額が同じやったら誤りになるんですか」
「…、じゃあ、なんや言うんですか」
「これ、金属の不正使用じゃないんですか」
無茶苦茶だ。
ニッケルやコバルトを使用しておきながらパラ請求しているのならそう言われても仕方ない。
しかし、今回は不正使用したからと言って不正に利益を上げていたわけでもない。
「ムチャ言うてきたら困りますわ。これで私に何かしらの不当利得があればそう言われても納得しますが、それもないのにムチャ言わんといてください」
ちょっとキレ気味で言う。
臨床経験のある技官に当たれば、納得してもらえることでも、事務官は違う。事務官は臨床経験がない分、机上の空論でムチャをいうことがある。
技官も納得しているのに事務官が横から口を挟んで全てをひっくり返すような発言をする。
ちょっと自分は勉強ができるからと言って何でも杓子定規に判断し、融通がきかない。
特に若い事務官に多い。
若いからイキが良いのだろう。こういう事務官はズボンかっさらいの刑にでもしたい気分になる。
「ま、今回はパラじゃないし、先生の言うとおり、これでなにか不当利得を得たわけじゃないし、良しとしますか」
めずらしい、技官が被指導者の先生の味方をしている。
重鎮先生とウマが合うのではなく、技官と事務官の仲が悪いのだろう。
敵の敵は味方、というやつか。
今回の録音は聞いていて面白い。
こういう個別指導ならワシも事務員役として出席すべきだった。
「ちょっと待ってください。不当利得がなかったとしてもニッケルを使用してニッケルによる金属アレルギーが出たらどうするんですか。私が言いたいのはそこなんですよ。患者の口の中に入れる材料を間違えること自体が保険医としてどうなのか」
最後の「保険医としてどうなのか」ということを簡単に口にするあたりが事務官としての資質がなっていない。
こんなことをこのような場で口にすること自体がパワハラである。
若い事務官のくせに重鎮歯科医師にパワハラ発言か。
〇〇協会の弁護士を帯同させていたらブチ切れレベルだ。


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