最後に忘れ物が無いかチェックし、会計を済ませ居酒屋を後にする。
我ながら、よくできた幹事や。幹事オブザイヤ―でホンマ堪忍やで。
知らんけど。
やっぱり外の空気はウマいで。至るところで、パリピと化した酔っぱらいが楽しそうにクダを巻いている。
それを横目にジャンカラへ向かう。近いしコンビニでコーヒーでも買って一休みしてから行くか。
と思ったのも束の間、運動会に参加していた一人の院長(A先生)が、何やら電話口で揉めている。
遠目からでも、難儀なフレーバーを醸し出している。
『えぇ、ですから。娘さんがですね・・・』
引き攣った顔をして話している。終始落ち着かぬまま、電話を切った。先程と比較してウソのようにテンションが下がっている。
これは幹事として確認しとかねば。いや、単に面白そうなだけか。
「A先生、どうなさったんですか?」
『お、おぅ・・・須藤か。ビックリさせんなや。』
「いえ、何か深刻な顔をして電話されていたものですから、お声をかけるのもどうかと思ったんですが・・・僕でよければ、話して頂けますか?」
口から出まかせを並べる。
『実はな・・・』
このA先生が、自他共に認めるお喋りな事は今までの付き合いで確認済みや。
何かワクワクしてきたで。
「少々お待ちを。」
コンビニに行って、スミノフとカップ氷を買い、先生の元へ戻る。
スミノフをカップに注ぎ、【眠れる森】でのキムタクとユースケ・サンタマリアのようなムードを作る。
オレもまだまだ格好付けたい年頃やったんや。
「一体何があったんですか?」
『さっきの運動会覚えてるか?』
右脳と左脳と前頭葉に焼きついとるわ。
『前十字靱帯切ったスタッフおったやろ。』
「あぁ、先生に病院送りにされた娘ですか。」
『俺が壊したんちゃう!』
先生、全ては管理者責任ですよ。今のオレの立場なら、すぐにこの言葉が出てくるで。
「あのウマ娘がクンロクかましてきたんですか?」
『誰がウマ娘や!』
「もう辞めます!そして院長を訴えます!!的な感じですか?」
『それのがいくらかマシやったわ。』
「それでマシなんすか?」
『あのウマ娘からやと思って電話出ると、その父親からでな。』
おう・・・修羅場やんけ。
『開口一番、〔呑みに出てるんですか・・・?〕て凄まれてな。』
ええやんええやん、個別指導みたいやん。
『気分は天国から地獄やで。』
「ケガした側からすれば、何とでもイチャモン付けれる案件やないですか。」
『例えば?』
「軽いジャブですと【何で付き添いの一人もおらんのや】、とか。」
『それ、いきなり言われたわ。娘さんから大丈夫と言われたんで、て返したところ・・・』
「そういう問題ちゃうやろ、ボケェ!て感じですか?」
『盗聴しとったんか?そっくりそのまま言われたわ。後はマシンガンや。そもそも運動会がアカンかったんちゃうんか?どう責任取ってくれんねん!とかな。』
そら大事な娘が運動会で選手生命を脅かす大ケガしたら、親はブチ切れるやろ。
なかなか面白くなってきたで・・・
