『ヘイ Yo! 佳子さま、カモン!!』
その鉄砲玉が佳子さまをカモンし出した。どうやらデュエットするみたいや。
調子に乗り過ぎやで。周りの勤務医は出し抜かれて悔しいのか膝叩いとるし、隣の女囚達はさらに不機嫌になるし、もうカオスや。混沌や。
頼むから、楽しいはずの宴会でわざわざ揉めるのは止めてくれ。
まあここまでくれば、むしろ関係無いからもうエエけど。
しかしそれにしても、ケダモノ達にロックオンされてもーとる佳子さまが不憫でならんで。
なぜなら佳子さまにとって、勤務医達は完全にアウトオブ眼中だからだ(そういえば最近のニュースで、本物の佳子さまが歯科医師と交際してる、て噂が・・・)。
いくら口説こうが無理筋であることを、全く理解していないシロート童貞の集まりか。
シンプルに嫌だろう。しかしそんな事は微塵も感じさせず、猛獣達の檻から逃げ出した佳子さまがステージ上に躍り出た。
映え~
完全に手慣れた様子の佇まいや。これまでの人生でスポットライトを浴び続けてきたのだろう。先程まででも十分な雰囲気を出していたが、ステージに立つ事でより一層オーラが輝いて見える。
まるで美輪明宏のようだ。オーラの泉のようだ。江原啓之のようだ。
あんな胡散臭い連中をわざわざ金まで払って信用するんやから、人間とは危険な動物や。
ライオンやトラ等の動物は、獲物と発情期にしか興味無いってのに。
アカの他人なんか信用せず、獲物をシバいてメスの取り合いをするだけやないか。
知らんけど。
内心クソ程イヤであろう気持ちを微塵も出さず、かつ相方の持ち味を消さずに絶妙な引き立て役として憎い程の存在感を放っている。
かえって主役に見えるで。
隣のメスゴリラが出ていけば、自分達をアピールする事しか考えないだろう。
なるほど、生粋のモテ人間はマインドそのものから違うという事か。
・・・ようやく悪夢のデュエットが終了した。
これでようやく佳子さまもお役御免や。
そしてステージを降りようとしたその矢先、他の鉄砲玉が『俺とも歌ってや!』と乱入してきた。完全に泥酔している。
あわよくば、佳子さまのハートを射止めたろうという気マンマンなのが見え見えで、さらに不憫に思えてきた。
完全に、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」状態になっている。
しかしながら安定の佳子さまや。嫌な顔ひとつせずに、ホステスに徹している。相方はまた悦に浸っている。裸の王様とはこの事か。
そしてデュエットが終了した。すると・・・またまた勤務医が『ちょっと待った!』してきた。
お前らは、ねるとん紅鯨団か。
エエ加減にせんかい、女性は他にもけっこうおるんやぞ?
佳子さまに一極集中してどないすんねん。
ナイナイのお見合い大作戦で、誰からも声をかけられない婚活女子の事が頭をよぎる。
恐る恐る周りを見渡すと、不機嫌MAX状態の女性陣を視認できた。
なんか殺伐とした空気になってきた。
おい、小池!
どない落とし前付けてくれるんや。
と思ったところで、何かを察したウチの院長がそっとささやき女将をしてきた・・・
