年々、各関係団体へは患者からの診療情報開示請求(カルテ開示請求)への対応についての相談が増えている。
カルテ開示請求の理由は、
①移転により転医する場合などで、速やかな治療の継続を期待するケースや民間保険への請求に関わるケースなど
②患者側の事由と治療そのものに不満や疑いを抱くケース
の二つに分類する事ができる。
当然の事ながら後者については、特に慎重な対応が求められる。
その対応にあたっては、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス(厚生労働省発出2017年4月14日)」や、「個人情報保護法への医療機関の対応(保団連発行)」等を参考にして頂ければいいかと思う。
現状では患者のカルテ開示請求権を定めた直接の法令はないが、平成17年4月1日に施行された「個人情報の保護に関する法律」と民法上の「準委任契約」の両側面から対応する必要がある。
「個人情報の保護に関する法律」では、2017年5月30日から改正法が全面施行され、取り扱う個人情報の件数の多寡に関わらず、全ての事業所(医療機関)が同法律の遵守を求められるようになった。
つきましては、全ての医療機関に対してカルテ開示の義務が課されるようになったんや。
また民法上は、歯科診療の契約は「準委任契約」に分類され、歯科医師は診療が終了した際には、その結果を報告する義務を負うとされている。
医療行為は高度の専門的技術と知識に立脚するもので、患者が容易にその内容や経過を知る事が難しいことから少なくとも患者がカルテ開示を請求した場合は、特段の事情が無い限り応じる事になる。
以下に、その特段の事情を述べたいと思う。
【個人情報保護法とカルテ開示】
下記の様な事項に該当する場合には、全部または一部を開示しない事ができるとされている。
①本人または第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
②当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
③他の法令に違反する事となる場合
①については、患者自身が、がんの告知を望まない旨を申し出たが、カルテにがんの所見が記載されている場合などがあたるが、歯科診療所では該当事例は少ないだろう。
②はカルテ開示をしない理由に掲げやすいが、ここでいう業務上の都合とは限定的と考えるべきであり、著しい支障が無い限りカルテ開示をしない理由にはならない。
要するに、患者からカルテ開示を求められたら、基本的には拒む事はできないという事だ。
患者との些細な揉め事で開示請求されるだけならいいだろう。いや、面倒臭いが仕方ないといったところか。
しかし、やっかいな揉め事で開示請求されれば、面倒臭いだけでは済まない事もある。
そういった有事の際に可及的速やかに対応できるように、日頃から最低限の準備だけでもしといた方が良さそうやな。
まさしく個別指導と同様に、「備えあれば憂いなし」やで。
