ふと他へ目を移すと、何やらオレの鉄砲玉仲間がC先生に詰められている。愛子さま達のボスだ。
『何を優雅に座ってくつろいどるんや。おぅ?』
なんか、デジャブな気分や。
飛び抜けたテンションも落ち着き、ホッと一息ついとっただけやろう。しかし、そのスキを突かれた訳だ。どれだけずっと必死に頑張っていても、たった一瞬の言動でそれらが全てオジャンになるのは誰もが経験済みの事だろう。
サッカーでも、10本に1本決めれば良いフォワードに対して、キーパーは10本に1本のミスも許されないんや。不当だと思われる扱いを受けた事は一度や二度では無いはずや。
まあそれが、さらにメンタルを強くするんやけどな。
なにはともあれ、さっきのオレみたいにクンロクをかまされている。
『甘いわ、お開きになるまでが勤務医の仕事や。遠足も家に帰るまでが遠足です、ていうやろ。くつろぐなんて、勤務医を舐めとる証拠やで。≫
この先生もウチの院長も同じ道を歩んできたのだろう。しかしそれと同じ道を歩ませるには、時代を考えなアカン。しかしそれ以上に、その人そのものを見なければならない。
なぜならこの鉄砲玉は明らかにゆとりの中で生きてきたパリピだからだ。根性が足りないのではない。経験が無いのではない。免疫が無いのではない。
ここまでくれば、価値観そのものが違うのだ。
だから、ムチでいくら叩こうが無駄な話だ。アメとムチを与える相手とタイミングを間違えたらエラい目見るのはこっちやで。
いや、そもそもオレ達が単にM野郎なだけではないか?無意識のうちに、理不尽な事に耐え切る事を義務付けられただけではないのか?それが当たり前だとDNAに焼き付けられたのではないか?そういう意味では過度のハラスメントとは実質、洗脳に近いものがあるのかもしれない。
知らんけど。
『院長達がノリノリやのに、お前は一体どーゆーつもりかって話や。』
{今日の説教部屋行きですね~♪}
愛子さまがウィスパーボイスでツッコミを入れる。どうやらこの光景は、日常茶飯事のようだ。
すると、先程スタッフにスタコラされたB先生も参戦してきた。
何やら口角泡飛ばして、便乗して説教し始めた。
なんか、これもデジャブや。
〔何一人でくつろいどんねん、コラァ!一緒に盛り上げんかい!!〕
「もう放っといたれや、いちいち面倒臭い。体育会系クラブの宴会か?いや、歯科医院の打ち上げやろ。単なるタチの悪い恫喝やんけ。」
{なかなか言ってくれるじゃないですか。}
おっと、また心の声が出てしもた。
愛子さまが合いの手打ってきたで。
{院長達にチクっときますね♡}
・・・このアマ、ロイヤルパワーで消してやろうか。
イヤ、消されるのはこっちの方か。
そんな事を考えながらも、鉄砲玉をチラ見した。
