保険算定部

か強診の取り方

まず、特掲診療料について

特掲診療料とは病状や処置法によって対応が大きく異なるため、基本診療料と言った包括的な支払になじまないもので、個々の行為について評価して算定できるようにしたものである。

と定義されています。

今回は、か強診を取るまでの実践例をお話します。

かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準

(1) 過去1年間において、SPT(Ⅰ)若しくは(Ⅱ)及びF局若しくはエナメル質初期う蝕管理加算の算定回数がそれぞれ30回以上(SPT(Ⅰ)又はSPT(Ⅱ)の合計)及び10回以上(F局又はエナメル質初期う蝕管理加算の合計)であること。

→か強診の施設基準取得前なので、回数計算をレセコンで行いSPT 1で800回以上になってたため記載しOK。

→F局は年齢毎におけるう蝕多発傾向者のC管理を補綴終了歯(シーラント可)にて110点を算定、合わせてF洗40点を算定。エナメル質初期う蝕管理加算はCe病名で1回目は口腔内写真撮影およびフッ素塗布にて算定、2回目以降はダイアグノデントペンにての管理にて130点を算定。小児患者さんが少ないが、合計して30回以上になってたため記載しOK。

 

(1)補管の届出があること。

→通常はクラウンブリッジ維持管理料の届け出は出しているはずなので、当院においてもOK。

(2) 過去1年間に歯科訪問診療1又は歯科訪問診療2の算定回数と連携する在宅療養支援歯科診療所に歯科訪問診療を依頼した算定回数が併せて5回以上であること。

→コロナにとり減収減益となってしまい、か強診の施設基準を取得しようと計画しました。訪問歯科診療をする施設基準の段取りができていなかったので、まずは歯訪診の施設基準(歯科訪問診療の注13)の届け出を出し受理されました。合わせて在歯管の施設基準の届け出も提出し受理されました。歯科訪問診療を算定する準備ができたため、訪問診療患者さんの訴求へのマーケティングを開始しました。まずは、院内マーケティングとして当院が訪問診療をやっているということを院内患者さんに知ってもらうために掲示物を作成し、ラミネートし張りました。また、最近来ていなかった後期高齢者以上の患者さんに対して電話にて最近の調子をうかがうと共に、訪問歯科診療の提案をしました。院外マーケティングとしてはホームページにバナーにて掲載しました。オフラインの院外マーケティングとしては高齢者は新聞を取っていることが多いだろうと想定して、新聞折り込みチラシにて訪問診療に自転車で行ける範囲を設定して配布しました。知っているケアマネさんにお歳暮を送りました。院内での掲示物に興味を持った訪問看護師の患者さんと診療後、当院の訪問歯科診療へのあり方のビジョンを中医協の歯科医師の資質向上検討会の中間報告の資料を元にプレゼンテーションを実施しました。以上のマーケティングを行いました。

⏩結果

サービス付き高齢者住宅(サ高住)の患者さんを1人依頼を頂きました。その後、義歯新製および義歯調整にて5回の歯科訪問診療1の算定をしOK。

 

(3) 過去1年間の診療情報提供料又は診療情報連携共有料の算定回数があわせて5回以上であること。

→診療情報提供料で一般的には親知らずを地域病院歯科や大学へ送ることによって算定する場合が多いと思うが、親知らずは送らずに全て自院で抜歯するために診療情報提供料は算定しづらい項目でありました。故に、全身疾患を持っていてかつ、かかりつけ医がある患者さんの治療や抜歯前に診療情報連携共有料(情共)にて算定しました。合わせてその後、総合医管も算定し算定漏れのないようにしました。15回の算定にてOK。

 

(4) 当該診療所に、高齢者の心身の特性、口腔機能の管理、緊急時対応及び歯科疾患の継続管理等に関する適切な研修を修了した歯科医師が1名以上在籍していること。

→歯科疾患の継続管理以外の研修は終了していたため、OKだったが歯科疾患の継続管理の研修のみがコロナの影響でなかなか見つからなかったがなんとか見つけて研修受講を終了。○月18日に受講証明書を獲得したが提出日が私にとって問題となりました。それというのも地方厚生局において施設基準の受理がいつになるかによって算定時期が大幅にずれてしまう可能性があるからであります。青本の特掲診療料の施設基準の取り扱いについて令2.3.5 保医発0305第3号 発出文書によると、届出書の提出があった場合において、要件審査に要する時間は原則として2週間以内を標準とし、遅くとも概ね1ヶ月以内(提出者の補正に要する期間は除く。)とあるために、○月18日時点で2週間を切っている事態であった。私としては翌月にSPT 2を算定する準備をしていたために、1ヶ月送らせることは避けたかったです。なんとか翌月1日からSPT 2を算定したかったため強行手段を実践しました。○月19日に地方厚生局は開庁するので○月19日の朝イチのアポイントを一時間程度切って、地方厚生局へ開庁する8時30分に直接、か強診の施設基準届出書を持参しました。(受講証明書以外の項目はもちろん事前に作成しました)郵送だと速達であっても提出者の補正に要する期間のロスとしてカウントされることを危惧しました。

⏩結果

か強診の施設基準は無事受理され、翌月1日からのSPT 2の算定が可能になりました。レセコンは前もってか強診への予定変更が翌月1日からできる状態にしておきました。

(5) 当該診療所において、迅速に歯科訪問診療が可能な歯科医師をあらかじめ指定するとともに、当該担当医名、当該担当医の連絡先電話番号、診療可能日、緊急時の注意事項等について、事前に患者又は家族に対して説明の上、文書により提供していること。

→訪問歯科診療に行ける時間帯を記載し、説明文書を作成し提供するのみなのでOK。

(6) 歯科医師が複数名配置されていること又は歯科医師及び歯科衛生士がそれぞれ1名以上配置されていること。

→当院は歯科医師○名、歯科衛生士○名なのでOK

(7)診療における偶発症等緊急時に円滑な対応ができるよう、別の保険医療機関との事前の連携体制が確保されていること。ただし、医科歯科併設の診療所にあっては、当該保険医療機関の医科診療科との連携体制が確保されている場合は、この限りではない。

→近隣にて連携している地域中核病院があるためOK。

 

(8) (4)に掲げる歯科医師が、以下の 項目のうち、3つ以上に該当すること。

ア 過去1年間に、居宅療養管理指導を提供した実績があること。

→訪問マーケティングで依頼があった患者さんがサ高住の患者さんのため歯科医師による居宅療養管理指導費を2回、歯科衛生士による居宅療養管理指導費を4回算定しOK。要介護、要支援でない在宅や特養、老健であると歯在管の算定になるため、介護保険が医療保険より優先されるサ高住の患者さんであったことは偶然であります。

イ 地域ケア会議に年1回以上出 席していること。

→地域に自由参加の地域ケア会議があることを調査して、事前に参加予約を申し込み名簿に名前を記載し、参加しました。その地域ケア会議開催時間が診療時間であったため私の診療を切って参加しました。地域ケア会議終了後、医院にかけつけ外来診療を開始しました。参加時間前にも一時間半のみ外来診療をしました。届出書類のなかにも証拠として地域ケア会議の議事録を添付しOK。

ウ 介護認定審査会の委員の経験 を有すること。

→無理

エ 在宅医療に関するサービス担当者会議や病院・介護保険施設等で実施される多職種連携に係る会議等に年1回以上出席していること。

→すぐには無理。現在はサービス担当者会議に出席済み。

オ 過去1年間に、栄養サポートチ ーム等連携加算等の算定があること。

→無理。

カ 在宅医療・介護等に関する研修 を受講していること。

→上記の受講等にてOK。

キ 過去1年間に、退院時共同指導料、退院前在宅療養指導管理料、 在宅患者連携指導料又は在宅患 者緊急時等カンファレンス料の算定があること。

→無理。

ク 認知症対応力向上研修等、認知症に関する研修を受講していること。

→上記の受講等にてOK。

ケ 自治体等が実施する事業に協 力していること。

→○○会に入っていないため不可能であるが、保健所に直接行っていつでも検診等があれば手伝うことを直接交渉したが現在も音沙汰なし。

コ 学校の校医等に就任していること。

→○○会に入っていないため無理。

サ 過去1年間に、歯科診療特別対応加算の算定があること。

→症例がないため無理。

 

(9) 初診料の注1に規定する施設基準を届け出ていること。

→届け出をしているためOK。

以上、条件をクリアーし か強診の施設基準を取得しました。

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