歯科訪問診療いわいる在宅医療における基礎基本における算定について、いまいちよくわからない、わからないからわかる範囲で外来と似たようにに算定していることもあるかもしれません。分かっている先生にとっては、当たり前のことですが、今回は、はじめて訪問診療を始める先生にたいして、訪問診療の基礎基本を書いていきたいと思います。
もう、知っている内容でしたら読む必要はありませんので、読み飛ばしてもらえればと思います。
まずは、在宅医療における、歯科訪問診療料についてです。歯科訪問診療料を算定するためには、まずは施設基準をとらなければなりません。歯科訪問診療料の注13、いわゆる歯訪診の施設基準をとりましょう。これは、訪問診療を始めますと言うことですので、訪問診療人数は0人で大丈夫ですので、開業時に、他の施設基準と一緒に出してしまった方が、後々めんどくさくないです。
歯科訪問診療料1,2,3の中で青本でもたくさん文字があり、読む気が失せてしまいやすいと思います。読んでいても、まるで哲学書のようで読む気がなくなりますので、ボールペンやマーカーを手にもって、線やアンダーラインを引きながら読み進めましょう。国試を思い出しませんか。
その中で、同一建物居住者以外とか同一建物居住者や、単一建物とかなんか目がチカチカしそうな文字が並んでいます。同一と単一は同じ意味でして、この同一建物居住者以外と同一建物居住者の違いは、在宅医療における定義としまして、まずは同一建物居住者を区分C000にて訪問診療を実施するに当たり、訪問診療を対象とする患者さんがみんなで住んでますよ!という場合に、その患者さんを同一建物居住者と定義されています。
みんなで住んでいる患者さんたちである同一建物居住者でない場合、いわゆる居宅で訪問診療をする患者さんが一人の場合、施設などに行っても一人しか診ない場合等を同一建物居住者以外と定義して、歯科訪問診療料1が算定できます。お役所特有の分かりにくい表現ですが、みんなでない時は、一人ですという逆説的表現です。そう、ハイデガー顔負けのThe哲学。
歯科訪問診療の指導管理においてポイントとなることには二つあります。
①歯科訪問診療に行く場所
②介護認定の有無(要介護1-5、要支援1,2)
この二つのことによって、指導管理を居宅療養管理指導で算定するのか?歯在管で算定するのか?の戦略が問われます。はじめて、訪問診療を算定するときには、相談する相手もあんまりしなくて、もしくは人に相談するも、その人もあんまり訪問診療に精通していないときには大分もったいないです。
かといって、勉強してから訪問診療を始めるかと言ったら、そう簡単に訪問診療の症例と出会うこともありません。では、どうすればよいのかということですが、私が考えるには訪問診療について良く知っている人をリスト化して、その人たちとの人間関係を良好にしておき、いつでも聞ける体制だけ整えておけばよいと思います。
そして他として③番目にもしあげるとすれば、月に何回訪問する予定なのかを考えて戦略をたてるとよいでしょう。あとは、歯科医師が行くのか?歯科衛生士が行くのか?一緒にいくのか?でも考えておく必要性があります。訪問診療に、たくさんの加算がありますので、算定漏れのないようにお願いします。
また、適応が合えば、か強診か歯援診の施設基準を持っていれば、歯科医師が毎回行くようでしたら訪問口腔リハも考慮の対象となるでしょう。これも、毎回の加算として算定が可能ですので、戦略的算定実践をしていただければと思います。
場所についてですが、まずは居宅もしくは居宅系施設か?病院、入所施設か?に分けられます。
居宅は家です。
居宅系施設は養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サ高住、小規模多機能型居宅介護、認知症高齢者型グループホーム、複合型サービス等になります。
病院は原則的には歯科関連標榜のない病院になります。
入所施設は特養、老健等になります。
病院と入所施設では居宅療養管理指導で算定できないために、歯在管での算定となります。訪問診療を理解していないと歯科訪問診療料と処置のみの算定となり、せっかく予約を切って、もしくは、朝早く、昼休みを削って訪問診療をしたのに採算が合いません。しっかりと、算定要件を満たした場合には、患者さんの家族などに請求することは悪ではありません。安いだけが、患者さんに優しいということは、私は間違っていると思います。
居宅、居宅系施設では歯科医師居宅療養管理指導もしくは、歯在管での算定となりますが、介護保険が優先されることにより歯在管で算定した場合に、返戻の可能性もあります。確かに、ケアマネさんとの書類のやり取りはめんどくさいとも言えますが、それがルールですので守るようにした方がいいと思います。ただ、いいことを教えます。居宅療養管理指導の算定は必ずしもケアマネさんの介入が必要なわけではありませんので、勝手に算定しても悪いわけではありません。ただ、ケアマネさんの気分がいいもではありませんので、一言ケアマネさんに言って、ケアプランにいれてもらった方が、紹介に繋がるかもしれませんし、サービス担当者会議に呼んでもらえるかもしれませんよ。
歯科衛生士の指導管理においては介護認定があった場合は、歯科衛生士居宅療養管理指導での算定になります。間違って、訪衛指で算定すると、会計検査院にお呼ばれするかもしれません。そうすれば、個別指導の移行要件を満たしてしまいますので、是非とも気を付けて算定していきましょう。
以下に、テクニックポイントをまとめておきます。
・介護認定がない場合に限り、訪衛指の算定となります。
・歯科医師が月に1回の訪問の場合には歯在管
・歯科医師が月に2回の訪問の場合には歯科医師居宅療養管理指導
・歯科医師、歯科衛生士で月に6回の訪問の場合には居宅療養管
・歯科医師が月に4回の訪問の場合には訪問口腔リハ
と、戦略をたてると増点になることでしょう。
訪問診療はあとで算定内容を変更することが難しいですので、最初に何で算定するのかを考えておくとよいでしょう。ご参考までに。