令和4年度診療報酬改定に向けた議論(次期改定の論点等)の概要の続きにて、歯科についての【現状と課題】地域包括ケアシステムの推進についてです。
○ 歯科保健医療ビジョンにおいて、地域包括ケアシステムを推進する観点から、専門分野に応じた歯科診療所間の役割分担等により、機能分化を図ることとされている。これは、歯科医師の資質向上検討会の頃からずっと言われているように、地域包括ケアのついては、今後もキーワードになってくることと思います。いわゆる地域完結型、ゆりかごから墓場までという、イギリス型の後追いとも言えます。この、地域包括ケアに今後も手厚い評価がされていくことでしょう。
○ 歯科保健医療ビジョンではかかりつけ歯科医に求められる役割として、歯科疾患の予防・重症化予防や口腔機能等のきめ細やかな患者等のニーズに対する対応や、訪問歯科診療を含めた切れ目ない提供体制の確保、医科歯科連携等を含めた他職種との連携などが掲げられている。重症化予防、訪問診療そして医科歯科連携も重要なテーマとなり、この事柄たちが医療費の削減になるということを、国は本気で考えており、そしてそれらに評価をしていくことになるでしょう。ただ、歯科医院サイドが口だけの予防歯科、医科歯科連携と言っても評価は決してしてもらえず、算定実績や、機能管理を含めた治療型でなく、予防型でもなく、機能管理型を今後は求めてくるのでしょう。訪問診療においては、居宅での在推進の算定や、外来からの訪移行の算定実績や、医科歯科連携においては周術期口腔機能管理料の算定実績が、恐らく施設基準に盛り込まれてきてもおかしくありません。
安心・安全で質の高い歯科医療の推進についてでは、以下のことが述べられています。
○ 平成30年度及び令和2年度診療報酬改定において、院内感染防止対策を推進する観点から、歯科初診料及び歯科再診料の見直しを行った。歯初診の施設基準に院内感染対策に対するスタッフへの周知徹底を盛り込むことによって、評価することになりました。今後も定期的な勉強会などの必要性から、院内感染への評価は初診料にまるめられることでしょう。
○ 歯科初・再診料の院内感染防止対策に係る届出医療機関数は、令和元年7月 1日現在、65,200 施設(約 95%)であった。ほとんどの歯科医院が届け出を出しているなか、逆に届け出ていない歯科医院は院内感染対策をする気がないと思われても仕方がありません。悪目立ちしますので、簡単なことですので届け出は忘れずにしていきましょう。
○ 新型コロナウイルス感染症を踏まえた感染予防策として、診療室内のエアロゾル対策やゴーグル又はフェイスシールドの着用などが必要とされている。この事も、当然と言えば当然でありまして、コロナ対策としての口外バキュームや、もろもろのコロナ感染対策についても、初診料に包括されてもおかしくはありません。外来環の施設基準の内容が初診料のないように刷り変わってします可能性も否めません。施設基準は、か強診や歯援診のことを例にあげるまでもなく、どんどん厳しくなっていきます。現在の施設基準の内容を、楽々クリアするくらいでないと、今後の歯科界の二極化の波に飲み込まれ、負け組になってしまうかっも知れません。ただ、私は売り上げだけが全てと思っていませんし、個々での価値観で選択すべきと思います。頑張った恩恵のひとつが、ただ売り上げでもあるだけと考えます。自費に逃げるのは簡単ですが、保険でしっかりと収益をあげるのもハードルは高いと思います。知恵を絞らなければ、潤沢な保険収入は得られません。
生活の質に配慮した歯科医療の推進等についてでは、
○ 歯科疾患の重症化予防を推進する観点から、令和2年度診療報酬改定において、6か月以上の歯科疾患の管理及び療養上必要な指導を行った場合の評価を新設した。これも、国がとうとうリコール再初診に対して、嫌気がさした末の評価項目です。今後も、リコール再初診へのペナルティと、長期管理への高評価は進むでしょう。長期管理をする歯科医院にとっては、リコール再初診を算定する意味が、すでに常に分かりません。いざというときの治療時のSRP の併算定を求めているのか、惰性でリコール再初診にしているのか?いずれにせよ、支払基金や国保のコンピューターチェックにもあるように、リコール再初診は返戻の対象としてのリスクをしょってしまうことでしょう。今後は、長期管理、機能管理、これにつきると思います。自費の前に、保険の算定ルールを熟知し最大公約数の求めに応じていきましょう。