以下に、国保連の情報提供事例から読み取る七つの算定解釈を考察していきます。
【国保】第一位
D-5 歯周病検査③
《令和3年2月26日新規》
○ 取扱い
原則として、画像診断の算定がない「D002 歯周病検査 2 歯周精密検査」の算定を認める。
○ 取扱いの根拠
歯周疾患の病態によっては、画像診断を行わなくても、4点以上のポケット等を測定する歯周精密検査により歯周病の確定診断を行うことが臨床上あり得るものと考えられる。
考察
この情報提供事例の応用はどのように解釈すればよいのか?時々困ってしまうのは、SPT 2時に定期的に歯周病の状態の把握のためにパノラマを撮影しなければならないとき、患者の一部負担金が高くなりすぎてしまい、クレームになってしまわないかと悩むときです。
この情報事例の解釈を応用して、そのように患者の一部負担金でパノラマの算定をしにくいときに、SPT 2は歯周病検査を包括していますので、無理にパノラマを算定せずとも歯周病検査としての歯周精密検査を包括していると言う解釈から、SPT 2の算定により歯周病の状態の把握は、パノラマの算定をせずとも、歯周病の診断は可能であると考察します。
【国保】第二位
E-14 写真診断⑪
《令和3年2月26日新規》
○ 取扱い
原則として、「下顎隆起」病名で、歯科パノラマ断層撮影の算定を認める。
○ 取扱いの根拠
下顎隆起の病態を診断するために歯科パノラマ断層撮影の画像情報が有用である。
考察
無歯顎のパノラマの算定において、病名で悩むときもあるかもしれません。下顎骨歯槽堤吸収症の病名をつけるも、パノラマ上で言うほど、骨の吸収がない場合には病名をつけるにもつけれないかもしれません。
顎関節症の病名をつけるも、あまりにもそればかりですと傾向的病名における算定と思われてもおかしくはありません。そのような場合には、実態に則して下顎隆起の病名にてパノラマの算定を行うことも可能であると、この情報提供事例から解釈できます。
【国保】第三位
I-67 口腔内装置③
《令和3年2月26日新規》
○ 取扱い
原則として、乳歯列期の「歯ぎしり(Brx)」病名で、口腔内装置の算定を認める。
○ 取扱いの根拠
乳歯列期の小児は、睡眠時等に生理的な歯ぎしりを行うことがあり、この場合に口腔内装置を装着することで、歯の摩耗や歯周組織に対する過度な負担等が軽減できると考えられる。
考察
先生方は日々の臨床においても、小児口腔機能管理などでの機能管理をしており、算定をしていると思います。小児口腔機能管理においての、食べる、話す、その他の検査において口腔機能発達不全症を診断することも多いと考えます。
もちろん、機能管理をしていけばお口ポカンまありますし、中には異常なくらいの歯軋りをして歯がすり減ってしまう小児患者も中にはいると思います。そのような場合には、実態に則して子供たちの口の健康を守ることは噛み合わせの面からの重症化予防として必要に応じて算定するのも必要と考えます。
【国保】第四位
J-11 抜歯手術④
《令和3年2月26日新規》
○ 取扱い
原則として、「P急発」病名で、「J000 抜歯手術 1 乳歯」、「J000 抜歯手術 2 前歯」又は、「J000 抜歯手術 3 臼歯」の算定を認める。
○ 取扱いの根拠
歯周炎の急性症状の原因が当該歯で、切開等を行っても症状が改善しない場合に、疼痛等の炎症症状を軽減するために、抜歯手術を行うことが臨床上あり得るものと考えられる。
考察
SPT 中においても歯周病により抜歯が必要となる場合はあると思います。歯周病安定期治療中で病状安定しているといえども、臨床では歯周病で抜歯が必要となることもあります。
SPT 中でP4やP3での病名で抜歯をすることもあると思いますが、P急発での病名での抜歯も情報提供事例から可能であると解釈されますので、実態に則して病名をつけ、算定してみてはいかがでしょうか?
【国保】第五位
K-2 伝達麻酔②
《令和3年2月26日新規》
○ 取扱い
原則として、下顎第一小臼歯に対して伝達麻酔の算定を認める。
○ 取扱いの根拠
炎症症状等があり浸潤麻酔が比較的奏効しにくい場合は、下顎臼歯部及びその周囲の歯周組織に奏効する伝達麻酔を行うことにより良好な麻酔効果が期待できる。
考察
傾向的に算定することは危険を伴いますが、実態に則しての算定では臨床上あり得る話です。実態に則しての算定をしていきましょう。
【国保】第六位
K-5 伝達麻酔⑤
《令和3年2月26日新規》
○ 取扱い
原則として、「P」病名で、下顎臼歯部の抜歯手術を行うにあたって伝達麻酔の算定を認める。
○ 取扱いの根拠
手術を行う部位や周囲組織の広範囲に麻酔が必要な場合は、下顎臼歯部及びその周囲組織に奏効する伝達麻酔を行うことにより良好な麻酔効果が期待できる。
考察
傾向的に算定することは危険を伴いますが、実態に則しての算定では臨床上あり得る話です。実態に則しての算定をしていきましょう。
【国保】第七位
M-8 歯冠修復
《令和3年2月26日新規》
○ 取扱い
原則として、ヘミセクション後、歯内療法の算定がない歯冠修復の算定を認める。
○ 取扱いの根拠
ヘミセクション後の根管の状態によっては、歯内療法を要せずに歯冠修復を行うことが臨床上あり得るものと考えられる。
考察
必ずしも感染根管治療が必要と言うわけではないと解釈できます。もちろん、必要でしたら感染根管治療の算定をするべきだと思いますが、perがなく症状なく安定している歯牙でしたら無理して患者の負担となる療養の給付を行う必要はないと考えます。
もちろん必要な場合もありますので、実態に則して感染根管治療や根充やデンタルの算定をしたり、しなかったり…
以上になります。