令和4年度改訂の方向性を予測してみる
二年に一回の、保険改訂がまもなく近づいてきました。がらりと変わる保険算定内容や施設基準もあれば、マイナーチェンジ程度の変化の改訂もあります。国の、あるべき歯科の形の流れに都度沿っていかなければ追い付いていくことも、ますます難しくなってきました。生き残るものは強いものではなく、変化できるものである。
今回、来る令和4年度改訂に向けて中医協の流れを見続けてきた私が、一度今回の改訂における方向性と予想のまとめをしていきたいと思います。主なトピックとしましては、重症化予防、在宅、機能管理、医科歯科連携、感染対策などがあげられます。どのように変化をするかを予想してみますが、違っている可能性も多々ありますことはご了承ください。
重症化予防について
重症化予防にたいして、重要視されますのは言わずと知れた、切れ目の内ない医療の提供になります。レセプト上で再初診を繰り返すことはこの流れに反していますので、今後はよりリコール再初診などへのペナルティは増すと考えられます。前回の改定時においては、初診時の歯科疾患管理料の減算がありましたが、今後はどのようなペナルティーが出てくるのか?
返戻くらいでしたらかわいいものですが、傷病詳記、果ては個別指導への移行などになってしまっては目も当てられません。前回の減算はそのような警告とも解釈できます。コンピューターチェックにもあるように、今後は人の手を介さず、AIにより国の意向に属する医院か、反する医院かを判別し、選定リストに入れられてしまう可能性も否めません。
SPT やP重防の算定実績も、重症化予防にとっては避けてとおれません。現在の、SPT の実績の算定回数ももっと増えていくことが考えられます。か強診の施設基準実績にて100回越えになっても不思議ではありません。また、P重防の算定実績も問われることが考えられます。なかなか、P重防の実績を積むにも戦略がいりますので、うまく算定していきたいものです。
P重防は現在では、使いがっての悪い算定評価とも考えられます。故に、P重防1,2のようになり、施設基準か、算定要件の変更により算定期間短縮などで算定しやすくなっていくのかもしれません。
SPT2 はかなり優遇された算定ですので、この算定評価の基準も引き上げられてしまうかもしれません。もしくは減算。施設基準や算定要件、もしくはSPT 3の出現などにより、より複雑化も考えられます。入院基本料ですら1-6など細分化されていますので、医科の後追いである歯科でも、そのようになっていくのかもしれません。
エナメル質初期う触管理加算は恐らく今後は、減算となってしまうでしょう。優遇されている、この加算はう触の重症化予防になくてはならないですが、そこまで高い評価である必要があるかと、限られた医療費の振り分けでそこに重きをおくかと言われると、在宅などへ振り分けたいのではないかと考えます。国は常にすでに、2040年問題を見据えているからです。
在宅について
在宅の算定回数についての施設基準での実績は、か強診や歯援診にてぐっと増えることでしょう。普通に訪問診療をしていれば、か強診の5回や歯援診の10回や15回は2-3か月でクリアできます。よって、在宅で今後特に施設基準で求められてきそうな実績には、訪移行や在推進が考えられます。
切れ目のない歯科医療と言う点からは、訪移行がまさにそれになっていくのではないでしょうか?訪移行の算定に対しましては、特に施設基準は必要ありませんので算定できないと言う言い訳は、現在ではできないと思います。
在推進については、施設基準が必要ですが訪問診療をしっかり実施している歯援診では在宅特に居宅の訪問診療を推進すると言う面からも、実績が加えられてもおかしくはありません。施設にて大人数を一気に見ることを、国は歯援診に求めているわけではなく、医療費の削減のために、なんとか在宅で健康寿命を少しでも伸ばしてほしいと言う狙いがあるのではないでしょうか?
機能管理について
口腔の機能管理は医療費を削減する根拠があるがゆえに、新しくできてきた評価項目になります。国の悩みとしましては、まだまだ算定回数が少ないことです。もっと算定してもらうためにも、施設基準の算定実績に組み込まれて算定回数を増やしていくように仕向けられるかもしれません。
小児の機能管理では、小児口腔機能管理料ですし、高齢者の機能管理では、口腔機能管理料になります。口腔機能発達不全症や口腔機能低下症の管理をすることにより、さまざまなメリットが生まれ、そして医療費の削減となり、国民の健康が守られると言う青写真が見えかくれします。今のうちに、どんどん算定していきましょう。
医科歯科連携について
機能管理の重要性を先程のべましたように、医科歯科連携においても機能管理の必要性は止まりません。周術期口腔機能管理です。オペ、ケモ、ラジエーションは今後もなくなることはありませんし、ガンにおける手術前後での口腔管理の重要性は、言わずもがなです。
日本人の死因の上位に、ガンがあるようにガンでの入院期間の延長は医療費の圧迫に繋がります。なんとしても、早期の退院が患者および国の喜びとなります。緩和ケアにおいても周術期口腔機能管理料Ⅲにあるように、ゆりかごから墓場までの、切れ目のない医療の最終管理としての周術期口腔機能管理の出番となります。看取り加算の算定実績が出てくる日も来るかもしれません。そもそも、算定できない気がしますが、、
感染対策について
コロナの出現により、感染対策は国民のキーワードとなりました。歯科医療においても感染対策は日頃行っていることですし、マストであります。サチレーションモニターも多くの人々の知ることとなりました。いわゆる外来環の施設基準の一部が、歯初診の要件に組み込まれてしまう日も近いと思います。
歯初診の要件に院内感染対策の研修をスタッフ全員に行うという項目が出たなか、今後、患者向けへの感染対策研修の実施の実績などが出てきたら末恐ろしいですが、あり得るかもしれません。私も日々コロナを正しく恐れて自粛の日々です。引き続き感染対策をしていきましょう。
以上、これらは個人的な意見になります。