「歯科訪問診療料」に関する歯科診療報酬の主な変遷
今後、ますます2025年問題を見据えて、果ては2040年問題を見越して、在宅医療の必要性は増していきます。人口動体は我々では容易に変えることができない問題であり、現実を直視して求められる医療が、かかりつけ歯科には求められてきます。
歴史を知り、過去から学ぶことは国が求める歯科への期待を紐解くきっかけになります。自費診療は確かに素晴らしいです。しかしながら、所得の問題により、必ずしも多くの患者がベストな治療を受けれるとは限りません。
訪問診療を本気でしてみてください。そこには、自費診療とは無縁の終末を迎えようとしているが、美味しく食べたい、痛くなく食べたい、マズローの欲求の一番下の欲求が、患者本人と患家の些細な欲求がたくさんあります。
訪問診療は医療の本質を、普段忘れかけている患者への優しさを(見せかけやアピールではなく)思い出させてくれます。国も患者も求めています。マーケティングで集患し、売り上げをや承認を求め続けることも自分の人生ですから必要だと思います。
しかし、たまには採算度外視でも患者と患家のために時間をとってあげてもいいのではないでしょうか?患家は疲弊しています。時々、口腔ケアや口腔機能管理をしてあげるだけでも、どれだけ喜ばれることか。患者は待っています。訪問診療がなかなかないというのは嘘です。歯科医院と患者が繋がっていないだけなのです。
国の求めている歯科訪問診療の歴史から、その可能性を感じてください。今回紹介する歴史は、それでも10年以上前の変遷なのです。何卒、患者と患家を救ってくださいませ。
歯科訪問診療の歴史
S63.6
・「在宅患者訪問診療料(480点)」新設→常時寝たきり又はこれに準じる状態(「特定疾患治療研究事業」に掲げる疾患に罹患しており、都道府県知事から医療受給者証の発行を受けている患者)に対して定期的に訪問して診療を行った場合の評価
H2.4
・「在宅患者訪問診療料」の引き上げ(480点→520点)
H4.4
・「在宅患者訪問診療料」の引き上げ(520点→650点)
H6.4
・「在宅患者訪問診療料」の引き上げ(650点→680点)
H6.10
・「往診料」及び「在宅患者訪問診療料」を「歯科訪問診療料Ⅰ(620点)」と「歯科訪問診療料Ⅱ(430点)」に改組
→居宅において、療養を行っている患者であって、通院困難なものに対して、患者の求めに応じて訪問歯科診療を行った場合又は当該歯科診療に基づき継続的な歯科診療が必要と認められた場合
→「Ⅰ」:「Ⅰ」以外
「Ⅱ」 社会福祉施設等で同時に複数の患者に対して歯科診療を行った場合 」:社会福祉施設等で同時に複数の患者に対して歯科診療を行った場合
H8.4
・「歯科訪問診療料Ⅰ」及び「歯科訪問診療料Ⅱ」の引き上げ(「Ⅰ」620点→710点、「Ⅱ」430点→460点)
H10.4
・「歯科訪問診療料Ⅰ」の引き上げ(710点→920点)
H12.4
・「歯科訪問診療料1(920点)」と「歯科訪問診療料2(400点)」の要件を見直し
→施設の種別と歯科訪問診療を行う人数で評価→「1」:居宅又は社会福祉施設等において通院困難な患者1人に対して歯科訪問診療を行った場合「2」 社会福祉施設等において通 院困難な複数の患者に対 して歯科訪問診療を行った場合で63「2」:社会福祉施設等において通 院困難な複数の患者に対 して歯科訪問診療を行った場合で、1人目及び2人目以降(30分以上)の患者
・「歯科訪問診療料2」の引き下げ(460点→400点)
H14.4
・「歯科訪問診療料」の対象者を明確化
→「常時ねたきりの状態等であって、居宅又は社会福祉施設等において療養を行っており、疾病・傷病のため通院困難な患者に対し屋内で行った場合」
・「歯科訪問診療1」及び「歯科訪問診療料2」の引き下げ(「1」:920点→830点、「2」:400点→380点)
H18.4
・「歯科訪問診療料」の要件を見直し
→歯科訪問診療を行った際に、当該患者又はその家族等に 対して、文書提供 算定 を行った場合に算定
H20.4
・「歯科訪問診療料」の要件を見直し
→文書提供の要件を廃止
・「在宅療養支援歯科診療所」を位置づけ
→在宅療養を後方から支援することを目的として、歯科訪問 診療料の実績があり、高齢者の口腔機能管理に係る研修を受けた1名以上の常勤歯科医師の配置等を要件とした歯科診療所
H22.4
・「歯科訪問診療料」の評価体系を簡素化
→同一建物居住者の有無と診療時間で評価
→「1」:同 建物居住者以外で 一建物居住者以外で20分以上診療を実施した場合
「2」:同一建物居住者で20分以上診療を実施した場合
10年以上前でも、試行錯誤の中、条件は良くなったり、やや悪くなったりですが現在の歯科訪問診療料1は1100点ですし、歯科訪問診療料の算定等はか強診の実績にもなっています。
在推進の施設基準にあたっっては歯科訪問診療1の実績のみです。今後も、評価の可能性のある歯科訪問診療を積極的に実施していきましょう。