域歯科診療支援病院歯科初診料における施設基準を見ていて、ふと遠い昔のことを思い出しています。その昔、私が若い頃、市中病院の歯科口腔外科の医員だった頃のことです。口腔外科の技術と知識をアップさせることのみに明け暮れていた日々がありました。その頃は、算定や施設基準については全く気にしておらず、口腔外科疾患のエビデンスや手術術式にしか興味はありませんでした。
毎日のように、英語の論文を見て、英語を訳詞ながらの勉強の日々でした。新しい抗がん剤の使い方や、例えば舌ガンにたいして動脈注射での浅側頭動脈からの舌動脈への動注化学療法の透視下での逆行性注入の経験など、今では出来ない経験をたくさんさせていただきました。
当時は、イケイケの時代だったのか骨切り手術を外来で行った一症例などの発表があり、座長の先生からのコメントは、そんな危ないことは外来でしないでくださいなどの誉められるどころか、ディスられてしまうような塩対応をされるほんわか?な時代もありました。
属していた病院の歯科口腔外科の部長は社保の審査員であり、まだ紙レセプトをめくって審査していたようです。月に一回の審査の日には、口癖のように「今から、査定してくるわ」でした。今ならよくわかりますが、当時の若い自身にとっては特に気にすることもない日々でしたが、今思えばもっと現場のことを聞いておけばよかったと思います。
そんなこんなで、思い出にふけっており青本をちらちらと見ていると、地域歯科診療支援病院歯科初診料における施設基準が目に入ってきました。開業医の自分には関係ないのですが、読み進めていますと府に落ちることが散見されましたので書いてみようと思いました。
まずは、紹介率のことが記載されていました。部長が紹介、紹介とよく口癖でいっていたことが何となくわかりました。紹介率が30%以上であることや、紹介率が20%以上でかつ、適応される手術症例が30件以上など、市井の一般歯科ではマーケティング以外では気にしない患者紹介率のことが書いてあるではないですか。
そういえば、地域の歯科医師会の集まりで、市中病院の歯科口腔外科の医員として会合という名の飲み会に無理矢理行かされて、歯科医師会の先生方にお酌をして回った、嫌な記憶がよみがえりました。枕詞は「今後とも、紹介の程宜しくお願いします」を言って回りました。部長からの指示でした。
病院歯科は、自分から来る患者は時間外の患者以外は、ほぼ紹介でなりたっていますので、紹介ありきなのはアグリーです。施設基準で30%と記載がありましたが、当時を思い出してみますと、うーんほぼ100%に近かったような気がします。とすると、これは余裕でクリアーなハードルなのかもしれません。
看護師の配置について。他の市中病院での勤務時に、外来に何故か常勤の看護師がいました。やる気があり、きれいな方でしたがなぜ看護師がいるのか不明でした。もちろん、ぺーぺーの当時の私が部長に聞けるはずもありませんでした。挨拶にいったときも茶髪、パーマで行って、初対面の部長にいきなり説教をいただきました。まー、当たり前ですね。当時は、私も何を考えていたのか…
地域歯科診療支援病院歯科初診料における施設基準において、看護師の配置が必要とのことです。昔の施設基準はわかりませんが、むしろ当時にこの地域歯科診療支援病院歯科初診料における施設基準があったかもわかりませんが、その市中病院は看護師の配置においては先駆けだったのかもと…
周術期口腔機能管理料について。月平均患者数が20人以上。私が市中病院に在籍していたときに、部長が言っていました。マイナーな科の歯科口腔外科が病院で存在意義を得るためには口腔ケアしかないと。ただ、当時は周術期口腔機能管理料がなかったような気がします。せっせこ、病棟に口腔ケアをしに行って、再診だけ算定していた記憶があります。
30分やって、200円弱かぁ、社会は厳しいなぁと他人事のように思っていました。サラリーマンですので、それでも給料は振り込まれますので。今思えば、Pで算定すればよかっただけです。もしくは、当時もSPT は出始めていましたのでそれでいっていたら、かなり時代の先駆けでした。しかし、当時は誰も算定していなかったと思います。メリットが確か全くなかったからです。
周計、周1,2,3のいずれかの算定した患者数が施設基準の実績に入っています。病院で周計を算定して周術期口腔機能管理料を算定することもできますが、病院側からかかりつけの歯科(か強診のことではない)で周計、周1を算定してください。という、お願いはよく来ます。
そんなときには、我々はちゃんと義理を果たして、周計、周1を算定して、周計の書類を病院へファックス等をし、病院側が周2を算定できるようにお膳立てをし、実績を積むことに協力することも病診連携のひとつと考えます。ちょっとめんどくさいですが、ただの歯科疾患管理料で算定せずに、周計、周1,3で算定すれば、いずれウィンウィンの日が来るときも近いでしょう。