令和3年11月10日開催の「第 495 回中央社会保険医療協議会 総会」より、「在宅歯科医療について(その2)」です。
歯科訪問診療において提供される医療についての資料となります。
令和2年度分を加えた歯科訪問診療料の算定状況です。歯科訪問診療1や2に比べて歯科訪問診療3は 20 分未満の割合が多い状況となっております。平成30年から時間による評価が加わったことにより、訪問診療に対する算定の戦略が見事に現れました。居宅にいく場合には、じっくり時間をかけて、施設にいく場合には数を見ていく戦略が目にとれます。
歯科訪問診療1・2・3の区分別の 20 分以上、20 分未満の割合を見たものです。令和2年度においては、歯科訪問診療1は 20 分未満が約6%。他方、歯科訪問診療3は、20 分未満が約 70%となっています。数を見ても、薄利多売になりそうですが、医療保険の内容まではわかりませんので、一概に利益が少ないと考えるのは違うと思います。
歯科訪問診療1・2・3の区分別の診療の内容を見たもので、歯科訪問診療1では、補綴関係、義歯の修理や新製が多い傾向にあり、他方、歯科訪問診療3については、口腔衛生や医学管理が多い傾向が見られます。歯科訪問診療3で口腔衛生が多いのは訪衛指で単独でいっていたり、医学管理の歯在管が多いのは特養や老健の施設で見ているものが多いためか、もしくは施設で居宅療養管理指導を算定せずに医療保険で算定しているからと考えられます。
平成 28 年度診療報酬改定において新設されました在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の概要と算定回数の推移を見たものです。令和2年で前年より減ったのはころの影響でしょう。月に4回算定できる訪問口腔リハが行けなくなって、丸々月に4回算定できなくなってしまったからと考えます。
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料を算定していない理由を調べたものです。患者さんがいない、算定を満たすのが難しい、どちらもにたような理由ですが、本当にそうでしょうか?アンケートだから軽く書いているだけだと思いますが、本当に症例が居ないかどうかははてさて。
平成 30 年度診療報酬改定において新設されました小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の概要と算定回数の推移です。算定回数でこの少なさですから、症例事態が少ないと思います。小児訪問口腔リハの算定要件は満たしやすいと思いますが、小児の訪問には、なかなか出会うことはないです。
小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料を算定していない理由を調べたものです。
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料と小児の在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料に要する時間について、日本歯科医学会のタイムスタディー調査の結果を紹介したものです。小児の場合は、成人の在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理の約 1.5 倍の時間を要している結果となっております。
小児在宅患者に対して歯科医療を提供する際の留意点や必要な対応等について、2021 年4月に策定されました日本障害者歯科学会の「小児在宅歯科医療の手引き」から引用して紹介しています。心理的な要因等による筋緊張亢進状態への対応や誤嚥性対策としての対応、口腔への接触拒否等があるための過敏を取り除く訓練が必要となる状況などを示してます。特別対応加算の併算定は必要となるでしょう。
これまで申し上げられた歯科訪問診療において提供される医療に関する課題をまとめています。