貧乏歯医者が金持ち歯医者になったわけ

口腔機能包括検査を考察する!

 

腔機能低下症に対する口腔機能管理は、ますます重要になってきます。オーラルフレイルやサルコペニアなど、口腔機能の低下が、全身疾患の増悪を招き、生存率を下げるとも考えられています。全身状態が悪くなれば、高齢者は居宅で介護できる状態ではなくなり、入院の必要性も出てくるかもしれません。そうすれば、国民医療費を増加させ、国の財政を圧迫することは想像に固くないです。

そのような中で、国の考える2025年問題、2040年問題からどのようにして医療費を削減できるか?多少の投資をしても全体の医療費を下げるために、何が医療でできるのか?医科の世界では地域医療構想のように、病院の機能分化を推進し、ここの機能における評価をしていく動きが以前よりなされています。

包括医療は今後も進んでいき、何々を行ったら何点を算定等、包括化は進んでいくことでしょう。審査支払機関においても、業務のスマート化がなされており、職員の働き方改革をAIによるコンピューターチェックにて後押しする動きもあります。医療をパッケージ化することにより、審査側は楽になるものの、医療は本来、個々に合わせて行われるものであり、業務の効率化の犠牲になることはゆゆしき問題です。

翻って、歯科の世界ではどうでしょうか?歯周病安定期治療や、歯周病重症化予防治療など一連の歯周病治療の包括化が推進され、旧態依然の再SRP ループは暗黙の了解で、禁止されていると解釈されます。平成30年度発売の青本においては、歯周病は再発しやすい疾患であるためSRP は繰り返し実施されることがあるという表現から、令和2年度発売の青本では、SRP は安易に繰り返すべきではないという表現に変わっています。事実上、もし歯周病治療を繰り返す可能性があるならばSPT へ移行すべきと解釈されます。

今回、口腔機能低下症に対する口腔機能管理の包括化として、突如として出てきたこの、口腔機能包括検査もその一連の流れとして、口腔機能管理をパッケージ化使用とする動きかもしれません。口腔機能管理は国の推し進めるトピックであることは間違いなく、医療費削減の切り札として重要視されていると考えられます。

口腔機能管理には主に3つの機能管理があることは周知の事実です。高齢者に対する口腔機能管理、小児に対する口腔機能管理、周術期に対する口腔機能管理です。現在の算定ベースで表現しますと、口腔機能管理料、小児口腔機能管理料、周術期口腔機能管理料です。ステージによって、目的や実施内容は違いますが、中医協でも随所で出てきており、むしろ出てこないことの方が少ないくらいです。

口腔機能管理については、算定回数が増えてきて入るものの、まだ少ないことが国としての課題としてとらえられています。少し過去に遡って、口腔機能管理の変遷の歴史を見てみますと、平成30年度では口腔機能管理加算として、歯科疾患管理料の加算としての算定であったものが、令和2年度改訂において口腔機能管理料として歯科疾患管理料の加算としての評価から外れることになりました。それというのも、加算という使い勝手の悪い算定から、歯科疾患管理料の算定時以外でも算定可能とし、使い勝手のいいものに改訂されました。それも、もっと算定してほしいという国としての方針と解釈されます。

しかしながら、使い勝手がいいことばかりではありません。口腔機能精密検査の条件は実は厳しくなっていたのです。平成30年度で咀嚼能力、舌圧検査、咬合圧検査のうち1つを含んだ異常と合わせて、他の7つの下位症状のうち3つを含んだ異常が生じている場合に、口腔機能低の診断となるものが、令和2年度改訂においては口腔機能精密検査の7つの検査は原則すべてを実施するという厳しいものになりました。原則以外の場合は通常の外来では到底当てはまらないものですので、文言通り、7つの検査はすべて実施しなければなりません。

ここで問題となるのはグルコセンサーのみを購入して咀嚼能力低下を1つ含み、他の2つを舌圧検査、咬合圧検査を実施せずに合致した場合に口腔機能低下症が診断できたことが、令和2年度改訂以降は実質不可能となっています。咬合圧検査は残存歯数で代替出来ますが、舌圧検査は低舌圧の診断のためには舌圧測定による舌圧検査のみとなっております。つまりは、JMS 舌圧測定器の購入が必須となっております。この機器は15万円くらいしましたので、かつ付属品は別途購入しなければなりません。プローべも確か一本600円くらいしますので舌圧検査の140点でペイするには微妙なものです。

しかし、現在の口腔機能低下症の診断においては舌圧検査は必須となりますし、口腔機能管理料を算定していて舌圧検査の算定がないというのも逆に目立ってしまう恐れがあります。先ほども申しましたように、咬合圧検査については残存歯数で代替可能ですので、必ずしも算定しなければ口腔機能低下症が診断できないというわけではないと解釈します。

そんな流れのなかで、突如として出現した口腔機能包括検査です。ご丁寧に400点という具体的な点数まで書いてあることからも、令和4年度改訂で新たな評価として出てくることは濃厚と考えます。この事が吉と出るか、凶と出るかは各歯科医院の算定に対する考え方次第です。機器の購入に対する投資、患者負担金の増加、大幅な増点(口腔機能包括検査400点+咀嚼能力検査140点+舌圧検査140点=680点)、口腔機能管理に対する施設基準評価の可能性、口腔機能管理料100点は別途算定可能になるか?(そうであるならば780点)、実施期間は6ヶ月とのことであるが、その間の3ヶ月に一回算定可能な舌圧検査の位置づけはどのようになるのか?誰が検査をするのか?もしスタッフに行ってもらうならばスタッフ教育の必要性、考えておくことは、山のようにあります。今後も、中医協の動向から目が離せません。

コラムを読む