保険算定部

中医協の動向(か強診)その2

令和3年12月1日の中医協会議資料より、歯科疾患の重症化予防に資する継続管理に関する研修(口腔機能の管理を含む)、高齢者の心身の特性及び緊急時対応等の適切な研修を修了した歯科医師について該当する項目において、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所についてで研修を修了した歯科医師について該当する項目をみると、「認知症対応力向上研修等、認知症に関する研修を受講している」が 77.7%で最も多く、次いで「学校歯科医等に就任している」が 73.5%、「在宅医療・介護等に関する研修を受講している」が69.2%でありました。

か強診の実績項目にある研修は、受講すればよいだけでありますので楽にクリアできる項目です。ただ、少し前はコロナの影響もあり研修会が全く開かれていなかったりして、ある意味クリアするのが困難を極めた時期もありましたが、現在は少ないとは言えども、ハイブリッド形式で開催されている所もあり、なんとかいける実績項目です。

学校歯科医に就任しているという項目は、非会員の先生にとっては煮え湯を飲まされていることと思います。会員でないとなかなか、その様な機会は回ってこず、独自で動いていたものの、この項目は政治的なこともあり実践力だけでは到底太刀打ちできない項目でした。

過去1年間に、居宅療養管理指導を提供した実績がある→5 2 . 0%
地域ケア会議に年1回以上出席している→2 7 . 1%
介護認定審査会の委員の経験を有する→2 8 . 4%
在宅医療に関するサービス担当者会議や病院・介護保険施設等で実施さ れる多職種連携に係る会議等に年1回以上出席している→2 9 . 3%
過去1年間に、栄養サポートチーム等連携加算1または2を算定した実績がある→4 . 4%
在宅医療・介護等に関する研修を受講している→6 9 . 2%
過去1年間に、退院時共同指導料1、退院前在宅療養指導管理料、在宅患者連携指導料または在宅患者緊急時等カンファレンス料の算定がある→2 . 1%
認知症対応力向上研修等、認知症に関する研修を受講している→7 7 . 7%
自治体が実施する事業に協力している→6 6 . 7%
学校歯科医等に就任している→7 3 . 5%
過去1年間に、歯科診療特別対応加算または初診時歯科診療導入加算を算定した実績がある→3 9 . 2%

割合から考えますと、在宅関連8/11、地域関連2/11、小児等1/11となります。か強診の実績において、在宅の比重が多いのは、国がか強診にもっと在宅を充実して実施してほしいという考えの現れかもしれません。今後も、おそらくこの基本方針は変わらないと思います。あえて追加するとなるならば、小児関連の充実になるかもしれません。

現時点の「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の施設基準の充足状況におきまして、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所でない歯科診療所の、調査時点での「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の施設基準の充足状況をみると、「満たしている」が 4.1%、「満たしていない」が 91.3%でありました。

満たしているのに、か強診の施設基準を取得していないのは、負担金が上がるのを避けるためなのか、自費でやっていけるから保険に頼らないのか定かではありませんが、この4%程度の歯科医院はもったいないなぁと、ふと感じてしまいました。

以前の「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の届出状況におきまして、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所でない歯科診療所で、以前は「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の届出をしていたかについてみると、「届出をしていた」が 2.4%、「届出をしていなかった」が 87.3%であった。

施設基準の実績項目が平成28年度の実績内容が、平成30年度からあり得ないくらいに厳しくなったことから2%程度が施設基準の辞退をしたと考えられます。それでも辞退しなかった歯科医院は頑張って、新たなか強診になっていった強者とも思えます。そうはいっても、意外に厳しくなった基準も、よく制さしてみますと、なんとか行ける施設基準の内容です。

「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の施設基準について、現時点で不足している要件におきまして、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所でない歯科診療所の、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の施設基準について調査時点で不足している要件についてみると、「過去1年間に歯科訪問診療1・2の算定回数、連携する在宅療養支援歯科診療所1・2に依頼した歯科訪問診療の回数が計5回以上」が 72.0%で最も多く、次いで「過去1年間の歯周病安定期治療(Ⅰ)(Ⅱ)の算定回数が計 30 回以上」が 59.6%、「過去1年間のフッ化物歯面塗布処置、エナメル質初期う蝕管理加算の算定回数が計 10 回以上」が 54.1%でありました。

やはり、歯科訪問診療が一番のネックとなっているようです。訪問診療は外来でいくら頑張っていても、やって来るものではないですので独自のマーケティングを駆使しないといけないものです。SPT やF局などは50%程度ありますが、外来で完結できるものですので、ただ単に算定の仕方が分からないだけと考えます。

過去1年間の歯周病安定期治療(Ⅰ)(Ⅱ)の算定回数が計3 0 回以上→5 9 . 6%
過去1年間のフッ化物歯面塗布処置、エナメ ル質初期う 蝕管理加の算定回数が計10 回以上→5 4 . 1%
クラウン・ブリッジ維持管理料の届出を行っている→10 . 0%
初診料の注1に規定する施設基準の届出を行っている→11. 1%
過去1年間に歯科訪問診療1・2の算定回数、連携する在宅療養支援歯科診療所1・2に依頼した歯科訪問診療の回数が計5回以上→7 2 . 0%
過去1年間の診療情報提供料、診療情報連携共有料の算定回数が計5回以上→2 4 . 5%
歯科疾患の重症化予防に資する継続管理に関する研修、高齢者の心身の特性及び緊急時対応等の適切な研修を修了した歯科医師が在籍している→3 9 . 1%
「7 」の歯科医師が、地域連携に関する会議等への参加実績※2 を満たしている→4 7 . 5%
歯科医師等が複数配置さ れている、または歯科医師及び歯科衛生士がそれぞれ1名以上配置さ れている→2 5 . 9%

「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の届出に関する今後の意向におきまして、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所でない歯科診療所の、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の届出に関する今後の意向についてみると、「届出を行う意向がある」が 31.1%、「届出を行う意向はない」が 53.7%、「その他」1.9%であった。届出を行う意向がない理由としては、施設基準を満たすことが難しい、歯科衛生士の雇用予定がないため、スタッフが少ないため等があげられた。

いわゆる、小規模な歯科医院にとっては歯科衛生士の採用が特にネックとなっていると考えられます。売り上げが少ないから歯科衛生士の採用活動にお金がかけられないのか、閉院も視野にいれているから雇用を控えているのか、現状で良しとしているからなのかは分かりませんが、売り上げのことだけを言えばか強診はとっておいて損はないと思います。「届出を行う意向がある」が 31.1%の歯科医院の先生には、是非とも頑張ってもらいたいものです。

 

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