令和3年12月10日に「第 504 回中央社会保険医療協議会 総会」が開催されました。「歯科医療(その2)について」を議題としています。説明された内容ですが、
・歯科医療を取り巻く状況に続いて、
・地域包括ケアシステムの推進、
・生活の質に配慮した歯科医療の推進等
について、説明されております。
まずは、歯科医療を取り巻く状況に関する資料となります。
8月4日の中医協でも示された資料ですが、歯科医療費の年次推移を示したものです。歯科医療費は約3兆円となっており、近年は増加傾向。その一方で、国民医療費に占める割合は約7%弱という状況になっています。歯科医療費は伸びているのに、歯科医療費割合は下がっているところが肝心です。国民全体の医療費が如実に延びてきてしまっているということです。少子高齢化社会の弊害が、この歳入と歳出のバランスを欠き、今後の日本に憂いを秘めていることは言わずもがなです。医療費削減は今後もポイントとなってくるでしょう。
歯科医療費の年齢階級別の推移を示されております。平成21年からの10年間の歯科診療医療費の推移を年齢階級別にみると、0~14歳の若年者と65歳以上の高齢者で伸びています。このことが、今後の小児と高齢者の医療費の削減のために、何ができるのかと言うことに焦点が当てられることでしょう。つまりは、機能管理ということだと考えます。小児口腔機能管理と口腔機能管理が手厚くなっていくでしょう。人口の伸び率におきましては、 特に高齢者の歯科診療医療費の伸びが大きいが、人口の伸び率も大きくなっています。右肩上がりなのが、この小児と高齢者と言うことですが、小児はもともと人口自体が少ないですので、時代の流れで変動しやすいものと思います。高齢者の伸びは極端に増えており、このグラフが示すように時代はやはり、高齢化社会へとますます突入していくことでしょう。
これまでも中医協に何度か示されておりますが、歯科治療の需要の将来予測のイメージです。今までは、削って、直しての繰り返しであった時代が、令和の時代では管理の時代となっていくでしょう。重症化予防はもちろんのこと、虫歯の管理、歯周病の管理、そして機能管理です。そのことによって、虫歯が減って修復治療が減る。虫歯が減って、抜歯が減る。歯周病が減って、抜歯が減る。管理をすることによって、修復や抜歯が減って、医療費も減る。つまりは、このような青写真を描いているのです。再度、言います。令和は管理の時代です。それも機能管理です。
2017 年に日本歯科医師会において、
「かかりつけ歯科医とは」
「かかりつけ歯科医が担う役割」
について、まとめられておりますので、それがご紹介されてあります。
かかりつけ歯科医とは、安全・安心な歯科医療の提供のみならず医療・介護に係る幅広い知識と見識を備え、地域住民の生涯に亘る口腔機能の維持・向上をめざし、地域医療の一翼を担う者としてその責任を果たすことができる歯科医師と示されているなかで、やはり在宅への重要性、および機能管理の重要性が記載されています。今後も、在宅への必要性はより強化されてくるでしょう。
そして、役割としましては、患者の乳幼児期から高齢期までのライフステージに応じた継続管理や重症化予防のための適切な歯科医療の提供および保健指導を行い、口腔や全身の健康の維持増進に寄与すること。また、地域の中では、住民のために行政や関係する各団体と共に歯科健診などの保健活動等を通じ口腔保健向上の役割を担い、地域の関係機関や他職種と連携し、通院が困難な患者にさまざまな療養の場で切れ目のない在宅歯科医療や介護サービスを提供するとともに、地域包括ケアに参画することなどがかかりつけ歯科医の役割であると示されているように、キーワードとしての重症化予防、多職種連携、切れ目のない医療、地域包括ケアとゆりかごから墓場まで、訪移行の重要性、在推進の必要性、それに伴う結果としての医療費削減にアグリーであると考えます。
医政局で取りまとめられました「歯科保健医療ビジョン」の全体像でして、今後の歯科保健医療の提供体制について、歯科医療従事者等が目指すべき姿が提言されております。
地域完結型歯科保健医療の提供へ向けて、機能分化、役割分担をし、予防の推進、医科歯科連携を地域包括支援センターや病院(医科)、医科診療所、介護保険施設と行い、歯科疾患予防策、具体的な医科歯科連携方策そして、地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関等の役割を担ってほしいと考えているのです。
地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関等の役割をまとめたものです。
・国及び地方自治体は、各々の歯科医療機関の果たす役割や機能を明示し、地域保健活動や、訪問歯科診療を中心とした医科歯科連携を進める。
→か強診や歯援診などの施設基準による機能分化です。歯援診1は特に訪問を専門的に行っておりますので、国も注目されています。うちにも、歯援診1の医院への実態調査アンケートが来ました。しっかり書いて、提出しましたが、結構細かいことを聞いてきています。それだけ、統計をとるに当たっても在宅への関心を国が持っているものと解釈します。
・地域ケア会議等において、歯科医療従事者が中心となり、歯科保健医療の必要性を伝えていく事が重要。さらに、国や関係団体は、歯科医療機関とその他関係機関との調整を行う人材の養成を行うことが必要。
→地域ケア会議はか強診や歯援診1の実績項目にもありますように、重要性は高いと思います。各歯科医院でもどんどん参画されるとよいです。
・歯科診療所は、国民・患者からも様々な役割や機能が求められていることから、専門分野に応じた歯科診療所間の役割分担、複数の歯科診療所のグループ化、歯科診療所の規模の確保等を検討し、機能分化を図る。
→アンケート調査でも所属学会についての項目があるように、役割分担をしていきたいと考えていそうです。今後はより、施設基準ベースでのふるいわけをしていくかと考えます。複数の歯科診療所のグループ化は歯科歯科連携、若くて大きな歯科医院は単独でショッピングモールのように運営すればよいですが、高齢の先生の歯科医院ではそうもいきません。出来ないことは、近隣の他の歯科医院と協力して地域貢献をしてほしいと言うことだと思います。または、歯地連や歯科訪問診療での依頼による連携、これは医科歯科連携においては周術期等口腔機能管理や退院時共同指導等の本物の連携が始まる序章と考えます。
・歯科保健医療を提供する病院は、設置状況や規模に応じて、歯科診療所で対応できない、より専門的な技術を要する患者の対応や歯科医療従事者に対する定期的な研修を実施すること等が責務として求められる。
→研修の重要性も侮れません。都度、めんどくさがらずに学術のみならず施設基準の研修も時間を取ってでも受けるべきと思います。
同じく歯科保健医療ビジョンの中で、「あるべき歯科医師像とかかりつけ歯科医の機能・役割」を示しており、例えば、重症化予防や口腔機能に着目した歯科医療の提供医療・介護関係者との情報共有がより可能となる連携体制の確保などが示されてます。
・かかりつけ歯科医の3つの機能
Ⅰ 住民・患者ニーズへのきめ細やかな対応
• 歯科疾患の予防・重症化予防や口腔機能に着目した歯科医療の提供
→SPT やP重防
• 医療安全体制等の情報提供
→院内掲示
• 地域保健活動への参画や、住民に対する健康教育、歯科健診等の実施
→自治体での歯科保健の協力
Ⅱ 切れ目ない提供体制の確保
• 外来診療に加え、訪問歯科診療提供体制の確保
→人を増やすか、朝でも昼休憩中でも、休日でも自分の時間を削ってでも確保せよ
• 訪問歯科診療を実施していない場合は、実施している歯科医療機関との連携体制を確保するなど役割分担の明確化
→出来ないなら歯援診1,2に紹介しましょうと。
Ⅲ 他職種との連携
• 医師等の医療関係職種、介護関係職種等と口腔内状況の情報共有等が可能な連携体制の確保
→退院時共同指導1、周術期等口腔機能管理計画策定
• 食支援等の日常生活の支援を目的とした他職種連携の場への参画
→NST 2
• 自院で対応できない患者については、他の歯科医療機関との診療情報の共有など連携を図り、適切な歯科保健医療を提供できるように努めることが必要
→歯地連
「具体的な医科歯科連携方策と歯科疾患予防策」ということで、例えば、がんや脳卒中患者に対する口腔管理等の推進等が示されてます。
・医科歯科連携等の他職種連携を推進するにあたって、医科や介護分野等からの歯科保健医療に対するニーズの把握が必要。
→歯科との連携による加算。退院時共同指導料1は在宅にて連携する医療機関でも算定可能。
・各地域の医科歯科連携等の状況を評価するための方法や、連携を進めるために歯科診療情報等の活用方法を検討。
→医療ネット?
・病院での連携については、
歯科と医科双方のアプローチが可能となる、周術期口腔機能管理センター等の医科歯科連携部門の窓口の設置
→周術期等口腔機能管理の以来においては、心ある病院では周計と周管1が算定可能ですと、ご丁寧に教えてくれます。
入院患者のADLやQOLの向上に資するためのリハビリ部門等の機能回復部門への歯科保健医療の関与
→摂食嚥下の重要性。病院での訪問口腔リハでの評価が上がるか?
がんや脳卒中等の患者に対する口腔管理等の推進等が考えられる。
→ケモ、ラジ、緩和ケアでしたら周管3、脳卒中でしたら訪問口腔リハの推進か?
・生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者に対する口腔機能管理の推進など歯科保健医療施策の充実を図る。
→訪問診療での周管1、周管2や居宅療養管理指導の実績を評価するか?