ある開業医の話

自己啓発セミナー潜入記・その①

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それではここで、前コラムにて割愛させて頂いた、

もう一つのセミナー話を掲載させて頂きます。

 

 

【ある開業医の話~最終章・41~】の続きとして

、ご一読頂ければ幸いです。

 

 

 

 

 

「で、もう一つの面白いセミナーってどんな内容

やったん?」

 

 

≪あぁ、そんな話やったな。あれはある晴れた秋の

日やった。≫

 

 

≪参加者50人くらいの規模で開催された、熱い

セミナーやったんや。≫

 

 

 

「熱血系の自己啓発セミナーか?」

 

 

≪まあそもそも、自己啓発はそれ系が多いもんや

けどな。これも少し、お涙頂戴系のセミナーやった

んや。≫

 

 

「・・・またか。心の隙間に付け込むのが好きな

奴らや。」

 

 

≪全員がそうとは限らんやろ。まあそのセミナーも

面白かったんやけどな。≫

 

 

「今度はどんな講師やったんや?」

 

 

≪松岡修造と松木安太郎を足して金村義明で割った

ような講師やった。≫

 

 

・・・どんな講師やねん。あまりにも濃過ぎて

BPOに苦情くるヤツやん、それ。

 

 

 

「で、肝心の話はどうやったんや?」

 

 

≪ツカミは、例の元塾講師と同じ様なパターン

やったな。≫

 

 

「どんなパターンやったっけ?」

 

 

≪お前の頭の中の消しゴムか。感動させてから、

本題に入るパターンや。≫

 

 

「あぁ、そやったな。今回も涙線崩壊させにきよ

ったんか?」

 

 

≪と言うよりは、大和魂に訴えかけてきよった

んや。≫

 

 

「大和魂?」

 

 

 

≪せや。お前、知覧って場所知っとるか?≫

 

 

「あぁ、知多やろ。知っとるで。」

 

 

≪それは愛知県や。鹿児島県の知覧や。≫

 

 

「知らんな、初めて聞いたわ。そこがどないか

したんか?」

 

 

≪知覧とはな、太平洋戦争における神風特攻隊

ゆかりの舞台や。≫

 

 

「特攻隊?それで、大和魂か。」

 

 

≪せや。≫

 

 

「それが、どうセミナーに絡むんや?

右の養成所か?」

 

 

≪違うわ、命の尊さを教えてくれたんや。あなたが

何気なく過ごした今日は、昨日死んだ誰かがどうし

ても生きたいと願った明日、てな。≫

 

 

「何や、よく耳にするフレーズやないか。お前も、

自己開発に余念がないな。」

 

 

≪啓発や、そしておれはまだまだ自己再開発中や。

まあ、そういう事や。≫

 

 

「今この瞬間を大切にして生きよ、か。それ、個別

指導対策で所見を豊富にしろって言ってるのと同じ

くらい、出枯らしのフレーズやん。」

 

 

≪いちいち途中でちゃちゃ入れてくんなや。素直に

話聞かんかい。≫

 

 

「素直に聞いたもん順に、高っかい壺や教材買わ

されるんやろ?」

 

 

≪もうお前は、セミナーに行くな。疑ってばっかの

ヤツに、幸せな人生は歩まれん。≫

 

 

「おう、お前みたいに胡散臭いセミナーには行かん

ようにするわ。ちゃんと歯科医師として患者様に還

元できるセミナーに行く事にするわ。」

 

 

≪ああ言えば上〇・・・≫

 

 

「・・・技官ですから。」

 

 

【ぽっぽや】の高倉健っぽく言ってみた。友人は、

悔しそうな顔をしている。分かりやすいヤツや。

 

 

 

個別指導では、基本的にはポーカーフェイスが望ま

しい。

 

 

なぜなら、サラッサラのパイパンカルテでも突っ込

まれたらイヤな部分はどんな先生にもあるからや。

 

そんな時に顔に表れると、剃り残しのアンダーヘア

を毟られる事になるで。

 

 

 

「で、エエ加減そのセミナーの内容を聞かせて

くれるか?」

 

 

 

≪せやな、まずはな・・・≫

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