ある開業医の話

自己啓発セミナー潜入記・その②

  • 再生回数:454

≪その講師はな、一代で大繁盛の居酒屋を作り上げ

た、ヤリ手の経営者やったんや。≫

 

 

「有名な全国チェーン展開しとる社長さんか?」

 

 

≪いや、全国規模ちゃう。ある地域で数店舗だけな

んやけどな、繁盛っぷりがフィーバーして花びら大

回転なんや。≫

 

 

お前はパチンコ屋か風俗か、ややこしい。

 

 

 

≪要するに、数カ月先まで予約が取られへん店って

ヤツや。≫

 

 

「なるほど、お客さんが引っ切り無しに訪れるんや

な。でもそんな飲食店、全国各地にあるやないか。」

 

 

≪と思うやろ?ところがそこは、独自の経営哲学で

運営されとったんや。≫

 

 

「独自の?他と何が違うんや?」

 

 

≪まあその前に、その講師と行ったデモンストレー

ションを教えたるわ。≫

 

 

「何のデモや?眞子様の結婚反対デモか?あ、もう

眞子【様】ちゃうか。眞子【さん】やったな。」

 

 

≪そんなんどっちでもエエわ、いちいち細かいチン

カス技官が。言葉尻捉える事しか考えてへんのか?

てか何で、小室ファミリーが出てくんねん。あんな

罰ゲームみたいな姑ちゃう。

 

神聖なオーリングや。≫

 

 

「オーリング?」

 

 

≪せや、まずは両手をハンズアップしてくれるか。≫

 

 

 

友人に言われるがままハンズアップした。人から

ハンズアップを指南されたのは、バスケのディフェ

ンスしとった時以来や。

 

 

なんか、素敵やん。

 

 

 

≪そして、両手の人差し指を組ませてくれるか。≫

 

 

友人に言われるがまま、自分の指を絡ませた。

 

なんか、AV男優の練習みたいや。

 

 

≪そして、おれは【できない!】て連呼してくれる

か。≫

 

 

友人に言われるがまま連呼した。

 

 

「できないできないできないできない・・・」

 

 

何か、めっちゃ惨めな気持ちになるんすけど。

 

 

するとその矢先、友人が力を込めてオレの指を

引き離しにかかってきた。

 

 

 

「何すんねん、いきなり?」

 

 

≪これがオーリングの真髄や。≫

 

 

「あぁ?」

 

 

 

≪じゃあな、もう一回指を組んでくれるか。≫

 

 

「なんでやねん、イヤじゃ。」

 

 

≪まあまあスドちゃん、騙されたと思って。≫

 

 

・・・すでにめっちゃ騙されてる気がするんやけど。

 

 

そう思いつつオチを見てみたい気もするので、今度

は加藤鷹のように指を絡ませた。

 

 

知らんけど。

 

 

 

≪じゃあ次は、おれは【できる!】て連呼してくれ

るか。≫

 

 

「できるできるできるできる・・・」

 

 

これはこれで、惨めな気持ちになってきたで。

 

 

すると今度は、友人が思いっきり力を抜いた状態で

オレの指を引き離しに掛かってきた。

 

こんなフェザータッチで、指が離れる訳がない。

 

 

 

≪どや、これがオーリングの真髄や。≫

 

 

「だから、これのどこが真髄やねん?」

 

 

≪前向きな言葉を発する事によって組ませた指が

外力を強く掛けても離れなくなる。逆に後ろ向き

な言葉を発する事によって指が簡単に離れる様に

なる、て寸法や。≫

 

 

「んなもん、お前のサジ加減一つやんけ。

おちょくるのもエエ加減にせえよ?」

 

 

≪でも実際そうやったやないか。おれを信じてくれ

れば、もっと神秘の力を引き出せるようになるで?≫

 

 

「いつからお前は詐欺師になったんや?インチキが

服着て歩いとるみたいやで。」

 

 

 

≪誰が詐欺師や。エエか、本題はこれからや・・・≫

コラムを読む