ある開業医の話

自己啓発セミナー潜入記・その④

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≪その親友の話をしている最中の事やった。≫

 

 

「その親友がサプライズゲストで登場したんか?」

 

 

≪死者を冒涜するな、罰当たりが。≫

 

 

「そんな立証のしようが無い事を信じるか信じない

かは、あなた次第やけどな。

事実かどうかは、この際関係ないやろ。」

 

 

≪身も蓋も無い事言うなや。それで心を動かされる

人もおるんや。≫

 

 

「その優しさに付け込まれて騙される人もおるんや

、いっぱいな。偽善で世の中生きていけると思った

ら大間違いやぞ?お前は、縁もゆかりもない赤の他

人の葬式見て悲しいと思う、偽善者なんか?」

 

 

 

つい、詐欺被害にあって全財産を失った知人がそれ

でも詐欺師を信じていたために、温厚なオレが自分

でも驚くほど一喝した時のリアクションを、思わず

してしまった。

 

 

 

≪何やねん、急に熱くなりよって。≫

 

 

「せやな、ちょっと熱くなったわ。技官の風上にも

置けんな、ほんま堪忍やで。」

 

 

 

≪・・・まあエエわ。その途中にな、急に天を仰ぎ

出したんや。≫

 

 

「どういう事や?」

 

 

≪すると講師がな、〔ごめんなさい。あいつの事を

思い出すと・・・〕て泣きそうになっとるんや。≫

 

 

「猿芝居にも程があるやろ。これまで何回同じ話を

しとるんや、それ。喋りすぎて講談師みたいになっ

とるパターンやろ、それ。」

 

 

≪ホンマ人を疑う事しか知らん寂しい人間やで、

お前は。言葉も詰まって泣きそうになってたで?≫

 

 

「【泣きそう】やろ?泣いてへんやないか。学校の

先生に怒られた小学生でも泣きマネくらい出来るで

しかし。」

 

 

だいたい絵面は想像できる。その猿マネに反応して

泣きだすサクラが仕込まれとんねん。

 

典型的な茶番劇やがな。

 

 

知らんけど。

 

 

「もうエエて、そんなん。話を聞こうとしたオレが

アホやったわ。」

 

 

≪まあ待て、ツカミって言ったやないか。まあ百歩

譲ってお前の言う通りそうやったとしても、この後

は目から鱗の超展開やで?≫

 

 

「何や、商売繁盛間違いなしの金の招き猫の紹介か?」

 

 

≪アホ抜かせ。最初に知覧って言ったやろ、その動画や。≫

 

 

「なんそれ。」

 

 

≪だから、お前の頭の中の消しゴムか。≫

 

 

「もうエエって。しつこい男は嫌われるで?

大好きな秘密倶楽部でもな。」

 

 

≪アソコは嫌われれば嫌われる程、上等なサービス

を受けられるおとぎの国や。部外者は黙っとれ!≫

 

 

「秘密倶楽部でもだいぶ調教されとるみたいやけど

、セミナーの影響もかなり受けとるみたいやな。」

 

 

≪当たり前だのクラッカーや。エエ波動を賜るため

にセミナーはあるんや。休日をのらりくらり遊び回

っとる有象無象と一緒にせんといてくれるか。≫

 

 

 

どうやら友人も立派なセミナーマニアの様だ。

 

 

もちろん自分自身の時間と金を使って参加する訳や

から、立派な自己投資や。しかしくどいようだが、

それを日常臨床や生活に活かさなければ、ただ単に

話を聞いてるだけで悦に浸っとるだけのオナニスト

や。

 

 

セミナーには毎週のように行っているのに何一つ変

わっていない先生も、多数お見受けしてきた。これ

も一種の自己犠牲で成立するものだから、他人がと

やかく言う事ではないが・・・

 

 

高額な本格矯正コースを長期間かけて受講された先

生ともお話させて頂いた事があるが、肝心の日常臨

床で全く矯正をされておられないようなケースにも

お目にかかる事がある。

 

 

 

≪でな、その話ってのが・・・≫

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