≪知覧は特攻隊の故郷みたいなもんでな。我が国の
ために散っていった兵士、いや、英雄の気持ちに触
れる事が出来る大和魂が鎮座した場所やねん。≫
「長渕剛みたいな事言うなや、完全にアッチ方面やないか。」
ヨ~ソロ~~~ヨ~ソロ~~~
≪アッチ方面、てどっち方面や。おれが何を言いたいか分かるか?≫
「さっきから、ちょっと何言ってるか分かんない。」
≪全く・・・お前みたいなヤツにこそ徴兵令が必要
や。日本はいつから、こんな軟弱な国になったんや!≫
完全にアッチ方面の目をしている。ライトなドM
やないか、面倒臭い。
「で、結局そこからどういう話に繋がるんや?」
≪特攻隊員がどういう気持ちで散っていったか、
お前は知っとるか?≫
「お国のためにこの命捧げます。か?」
≪それもある。しかし戦後、海外から自爆テロ扱い
されるような事してまで彼らが本当に守りたかった
ものは、一体何だったのか?≫
「何か【永遠のゼロ】でも同じような事、言って
なかったか?」
≪ちゃ、ちゃう。い、今は関係あれへん≫
なるほど、ちょいちょいパクっとるんやな。
目の前の相手のリアクションの変化で、状況を的確
に分析できるのが技官や。まさしく下手な小細工は
通用せん、てヤツやで。
被指導者の先生方はお気を付けて。
「だから、何を守りたかったんや?」
≪大義はお国のためや。しかしその実・本音は、
これからお国で生きていく自分の家族や。
家族こそ、最も守りたい存在やったんや。≫
≪だから辞世の句は家族に当てたものがほとんどや
、てな。率先して特攻しに行った訳じゃない。
愛する家族のために、自分を犠牲にしたんや。
究極の自己犠牲やで。≫
・・・【永遠のゼロ】にそのような内容が書かれて
いた事は、口に出さないでおいた。
「だから結局、それで何を言いたいんや?」
≪鈍いヤツや、普段から自己チューなんやろな。
だから技官には、ロクな噂が立たんのや。≫
「余計なお世話や、こっちも仕事やねん。
だから何や?」
≪誰のために生きるか?を常に問え、て事や。その
マインドさえ持っとけば、【今この瞬間】を疎かに
せずに生きていける。
利己主義やない。利他主義を胸に生きていくんや。≫
なんか稲森和夫も混ざってきたで。オレも自己啓発
本を読み漁った経験があるが、結局はたいてい同じ
内容が、言い方変えて書かれとるだけや。
んなもん分かっとるわ、て。
要するに、パクって違う言い方しとるだけや。
しかし心が弱っている人がそういう本見たり、そう
いうセミナーに行けば、どっぷりハマる気持ちは分
かる気がするで。
でも、カモにされてるだけって自分で気付けば、
むやみに他人に依存する気なんか無くなるはずや。
XJAPANのTOSHIがエエ見本やないか。
知らんけど。
哲学書みたいに【そりゃそうでしょうね】、て内容
をやたら難しく書く事で、それっぽく見えるような
話を安易にすんなり信じてしまうのだけは、止めた
方が良さそうや。
目の前の友人の熱弁を聞きながら、そう思った。
感動したふりだけしながら。
