悪夢の院内運動会

悪夢の院内運動会⑫

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定刻前に全員集合や。遅刻は誰一人いない。

 

さすがに皆、よく教育されている。

 

それぞれの医院でお揃いのTシャツを製作し、チームとしての一体感を感じるで。さながらお祭りってとこか。

 

 

とりあえず競技の準備は完了しているので、後は体育館の使用時間内にスムーズに進行するだけや。

 

この【時間通り】というものの大切さは、友人の結婚式に出席した時にイヤという程思い知らされた。何せ、段取りが悪いんや。いや、悪過ぎるんや。

 

 

2時間の予定が、4時間近くかかったのだ。本人たちは良かったのかもしれないが、他の参列者にとっては地獄だったろう。美味しくもない飯に、面白くない余興が延々と続くあの絶望的な気持ちは、未だに色褪せる事がない。

 

従って、いつまでもダラダラとし続ける事だけは何としても避けなければならない。

 

 

もっとしたい、と思わせるような進行が要求される。

 

 

しかし人生、本当に分からないものだ。この【時間通り】に【肝】を押さえて進行する経験が、技官になってあれ程役に立つとは、この時のオレにはまだ知る由が無かった。

 

 

早速、競技開始や。

 

とその前に、全員でラジオ体操するという指令が院長より下されている。そのため、ラジカセも用意した。こればかりは体育館にあらかじめあるものではないので、経費で購入した。

 

今朝早く、ラッパーのように肩に担いで縦ノリで運んで来ておいた。気分はMCハマーや。

 

 

知らんけど。

 

 

 

小学校の運動会と同じく、代表者が前に出て模範的なラジオ体操をする必要がある。

 

当然の事ながら、オレの役目だ。ここは他のスタッフでエエやろ。

 

 

人使いの荒い体育会系は、一人にロックオンするとその一人に徹底的に仕事を押し付ける。

 

結果的に非効率的になっている事に気付いていない。まあそんな事はどうでもエエか。

 

 

ラジカセから、懐かしのラジオ体操第一がかかった。一瞬で子供に戻ったような気がした。音楽には、凄まじいチカラがあるな。

 

 

知らんけど。

 

 

くどいようだが、やるからにはマジや。この一週間みっちり練習したラジオ体操第一を皆の前で披露する。

 

 

教壇に立つと、学生の所作が全方位からよく分かるというが、どうやらその通りのようだ。

 

 

体操しながら、スタッフ達の様子がよく分かる。キビキビしている人もいれば、気ダルそうにしている人もいる。こういう所も本物の運動会っぽいな。運動神経が悪い子供にとっては、地獄の祭典という事か。

 

 

しかし、ダルい気持ちのまま付いてこられても困る。こんな事もあろうかと秘かに特訓しておいた、ラララライ体操を不意に繰り出した。

 

 

『おぉぃ!なんやねん、それ!!』

 

 

と全方位からブーイングを食らったが、皆笑顔でウケている。よっしゃ、今日一番の任務完了や。すべったらどうしよか、と思ったで。

 

 

計画通り、ラジオ体操が終了した。ここまでは時間通り、いや、巻きでいけたで。

 

 

 

という事で、第一種目の玉入れに移る事とした。

 

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