ラストはリレーや。
玉入れ、綱引きと大人がするにはクソみたいな競技に比べたら、単純に盛り上がりそうやで。
各医院が男女2人ずつの計4人を提供する事になった。
これからそれぞれの誇りを胸に激熱な競争が繰り広げられる。
知らんけど。
<1位じゃないと許さんぞ?>
選抜されたメンバーを前に、院長がクンロクをかます。
「2位じゃダメなんですか?」
思わず、オレの中のレンポウが口を挟んだ。いや、蓮舫や。
ちなみに、あのオバハンが技官やったらシャレになれへんやろな。技官にめっちゃ向いてるのだけは間違いないが。
ああいう人間を見ていると、ヤジにもセンスが必要な事がよく分かる。ほとんどの国会議員はセンスの欠片もないヤジばっか飛ばしているから、世間から無駄に叩かれている。
同様に、技官にもセンスが必要なんや。
<よーゆーた。なら須藤、お前はアンカーや。そして走り終わった後にもう一周走るんや。これで今日一番の注目を一人占めや。>
個別指導ではなおの事、余計な一言は言わないに越した事はない。癪に触るとイケズをしないと気が済まない人間は多いんや。
ちなみにオレは、無条件でリレーのメンバーに選抜された。皆イヤすぎて、お鉢が回ってきたんや。
さらに2周って・・・喜び組を通り越して、将軍さまの愛人になった気がした。
知らんけど。
そしてリレーが始まった。
結果は・・・ウチは3位だった。院長を筆頭にメンバーは皆一様に悔しそうにしている。
てか、何で走ってないヤツらが泣いとるんや。こんなとこでいらん演技せんでエエんや。
クライスファクターみたいなヤツらやで。
ちなみにオレは、院長の指令通り余分にもう一周走った。ラララライ体操よりウケていない。骨折り損のくたびれ儲けとはこの事か。
これでようやく大団円か・・・と思いきや、何やら他院の一団がざわめいている。
一人の女性スタッフが、膝を抱えてのたうち回っている。まるでネイマールのようだ。
本気で苦悶の表情を浮かべているように見える。
後から分かった事だが、どうやら頑張りすぎて前十字靱帯を断裂していたようだ。
お前は、元ブラジル代表のロナウドか。
プロサッカー選手のするケガやで、それ。大事故や。
もちろん皆心配している。ただ事ではないと、大急ぎで救急車を呼んだ。あの女性スタッフにとっては、まさしくとんだ災難だろう。
さすがにそこの院長が付き添いで行くのかと思いきや、どうやら一番仲が良いのであろう女性スタッフが一人付き添いで救急車に乗り込んだ。
後々問題になりそうなので、そこの院長に「やっぱり先生が付き添って行った方が良いんではないですか?」と尋ねたところ、
『そう言ったんやけどな、〈私の責任ですから、後は皆さんで楽しんで下さい♡〉て言われたから、お言葉に甘えて他のスタッフに行ってもらったんや。』
との答えが返ってきた。
「それ、一番アカンやつやんか。せめて状況が落ち着くまでは側にいてあげんと。歯科の業務とは関係ない遊びなんやし。」
と思ったが、口を挟む事でもないと思い言葉をのみ込んだ。
まあそうしとけば、あんな事には・・・
そして、そのリレーの後・・・
