悪夢の院内運動会

悪夢の打ち上げ⑩

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それを観察している女性スタッフの顔をチラ見すると、みるみる怒りのボルテージがこみ上げてきている事が容易に確認できた。

 

合コンで誰からも声をかけられないメスゴリラのような顔つきになってきている。

 

 

幹事として、この状況をどうにかしなければならない。このまま放置しておけば、いずれ佳子さまがこのフィリピンの女囚刑務所みたいなところに放り込まれる事になりかねないからだ。

 

 

 

・・・よっしゃ、このボスザルみたいな女のご機嫌でも取っとくか。

 

ええいままよ、と覚悟を決めて横に座る。

 

 

 

「おつかレーション!」

 

己の恥を捨て事態の収拾にかかる。

 

 

{え?}

 

振り向いたその顔、何か愛子さまみたいや。

 

 

意外なルックスに右ストレートを挿入されたような気分になった。

 

 

そういえば愛子さまの成人時におけるお姿、大変神々しくあられたな。

 

あれ程の高貴なオーラを纏うとは・・・雅子さまとケンカしとったんちゃうんかい。

 

いつまで経っても皇太子さまと呼んでしまう天皇陛下の手綱捌きが見事であらせられたのだろう。

 

 

知らんけど。

 

 

 

どっかの眞子さんとはエラい違いや。ヒゲの殿下にとっては若い頃に散々ワガママ押し通したツケが、ブーメランとして自分に突き刺さったようなもんか。

 

 

知らんけど。

 

 

 

しまった・・・と思いつつも、一度乗りかけた船や。愛子さまを始めとしたメスゴリラのご機嫌を取ったろうやないか。博愛主義者の腕が鳴るで。

 

 

知らんけど。

 

 

 

まあその前に、全体像を具体的に把握しておく必要がある。

 

どこから手を付けていいか分からない状況では、まずはその実態を理解する事が必要や。

 

そこから大事なところに兵力を集中し、いらんところは捨てる。ナポレオン戦術や。

 

ここら辺は個別指導と一緒やで。

 

 

 

・・・辺りを見回すと、とにかく誰かが歌う度に乾杯している。皆で踊り狂っているといったところか。

 

お前らはエリカ様か。片瀬奈々か。マンモスラリピーか。

 

 

あのミスチルの曲でも大暴れしている。

 

・・・ミスチルにそんなノリの曲、あったか?

 

 

そんなオレの胸の内を見透かしたように、先程エクトプラズムを放出していたB先生がツッコミを入れてきた。

 

 

〔そういうノリにするんや。見てみい、この夢の宴を。ノリの悪いやつは、月に代わっておしおきよ!〕

 

 

タキシード仮面気取りでセーラームーンの決め台詞をぶち込んできた。

 

B先生、今日からあなたの事をセーラー仮面と呼ばせて頂きます・・・須藤の心の中で。

 

 

 

しかし何でこんな、だるビッシュばっかりなんや。こういうキャラが偶然集まったのか、はたまた一緒にいるうちに染まったのか・・・

 

卵が先か、鶏が先か・・・

 

【全ての事象は偶然ではない、必然だ】という言葉を思い出した。

 

 

覚悟を決め、オレも完全に染まる決意を固めた。

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