<今時の若者は、気合いの入ったノリを知らなさ過ぎるんや!>
院長が、若手の勤務医に説教している。
・・・張本勲みたいや。あの御仁もサンデーモーニングからクビ切られる時代やぞ?
オレ達の時代では当たり前だのクラッカーでも、今同じ事すると時代錯誤も甚だしいハプニングを招くだけやで?
「今時あんな事言ってたら、若い女の子に見向きもされへんで?オッサン認定されて原始人扱いされるわ。」
引き続き、メスゴリラ達を接待する。何か趣旨が変わってきた気がするが・・・
ケチな事は言いたくないが、キャバクラに金を出して行っているにも関わらず、こっちからキャバ嬢を盛り上げなアカンあの感覚を思い出した。
・・・単にアウトオブ眼中なだけか。
「まあ、ふてこいキャバ嬢に比べればケツの青いフェアリーみたいなもんや。須藤の手にかかればイチコロやで。」
{フェアリー?先生は、妖精ですか?オッサンが気色悪いですよ。それと、キャバ嬢は客に話合わせてるだけです。腹の底では逆の事考えてますよ?}
愛子さま、的確なツッコミ入れてくれるやないか。
てか、ついつい心の声が出てしもたわ。
「しかし・・・ウチの院長はともかく、アンタんとこの院長もいつもこんな感じなん?」
ちなみにこの愛子さま一派の院長先生は、ウチの院長と同期のC先生や。
この先生があの時の飲み会で防波堤になってくれなかったおかげで、今のこの状況が出来上がっている訳だが・・・
{まあ普段はクールですけどね、気の良いおっちゃんて感じでスタッフからはもちろん、患者ウケもよろしいんですわ。}
いつの間にか愛子さまの目がすわっている。
まるで反抗期の頃の雅子さまのようだ。
すると、ちょうどミスチルでタテノリしていたC先生が、
<ヘイYo!チェンジ!!>
とデリヘルのような事を言い出した。
要するに、次のヤツ歌わんかいという合図だ。
こういうカラオケ大会は先に歌っておいた方が楽だという事は、これまでの人生で経験済みだ。
どーせオレには確実にお鉢が回ってくるんや、と覚悟を決め席を立とうとした瞬間、
『俺が歌います!』
とオレと同じ鉄砲玉の一人が名乗り出た。
院長連中の盛り上げ方も、さらに異常なハイテンションになってきとる。
パリピに煽られ、その鉄砲玉がヒムロック全開で歌い出した。古過ぎるやろ。
しかし酒が回っているせいか、ついでに自分にも酔っている。
まあしかし、宴会においてはこういう率先して宴会部長になるメンツがおれば幹事としては楽チンや。
もう後は、皆で好きにやってくれたらよろしいわ。
残されたオレのミッションは、このジャンカラから上手い事退散する事だけや。
しかし会計を握っているだけに、それは許されない。それさえなければ、さっさと帰るんやけどな。
そんな事を考えていると・・・
