歯科医療とは、患者と歯科医師の間の真摯な信頼関係(ラポール)の上に成り立つものだが、患者がカルテ開示を請求してくる時には、すでにその関係が崩れていると見るべきやな。
そりゃそうや、揺るがないラポールが確立されていれば、わざわざ相手の腹を探ろうとは思わんもんやしな。
本当のラポールとは、突然のトラブルが発生した際、その真髄が発揮されるのかもしれんな。
知らんけど。
カルテ開示を請求されるに当たって、正当な理由がなくカルテを開示しないとすれば、それ自体が無用な不信感を増長するだけでなく、証拠保全や文書提出命令などの法的な手段が行使される事もある。
一度点いた火は、簡単には治まらんって事でよろしいか。
その事からも、当然の事ながら歯科医療機関での速やかな対応が求められ、準備しておく事が肝要や。
なお、これは不測の事態に直面してテンパった先生にみられる事だが、カルテそのものは医療機関の所有物であり保管義務が課せられているので、原則として患者にカルテ原本を交付するような事態は避ける必要があるで。
日常臨床における患者提供用紙などは、全て原本を患者に渡して控えをこちらで保存するのが原則だが、全くの逆パターンになる事を肝に銘じといてな。
指導の通知は基本的には1カ月前までに通知されるが、患者からのカルテ開示請求の多くは、いきなり!ステーキや。いや、いきなり!カルテ開示請求や。
文字通りボケーっとしている暇は無いで、待ったなしの状況や。ある意味、個別指導より難儀なケースもみられる事から、しっかりとご用心を。
そして我々、歯科保険研究会個別指導部のメンバーも、先生方から『カルテ開示請求の具体的な対応策はありますか?』と質問される事がある。
これに関しては、「日常的に必要な記載を確実に、そして可及的速やかにして頂く事です。そして、各種データの保存も抜かりなく行っておいて下さい。」としか答えられへんところやな。ホンマ堪忍やで。
まあ、そうは言っても人対人のやり取りである事に変わりはない。
その患者の【トラブル発生時の】心理や本質をしっかりと把握し、然るべき対応を取って頂きたい。
要するに、相手によってやり方は千差万別って事でよろしいか。
これも特に【優しい】先生方によくみられるケースだが、後々の展開を憂慮して患者の言いなりになってしまう事だけは絶対に避けて欲しい。
今後の関係を良好に保ちたい、て言ってもな。どうせやる事やったらもー来院せえへん。他所である事ない事言われても、所詮はコントロールできん話や。
もう二度と関わる事も無いんやし、毅然とした態度だけは崩さず不要なマイナス思考に支配されないよう冷静に対処して頂きたい。
カモにされるのは、いつだって優しい人間やさかい。
