悪夢の院内運動会

悪夢の打ち上げ⑳

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A先生にイケズをしたせいか、お腹が空いてきた。

 

 

思い返せば、若い頃は新陳代謝が活発やった。色んな滅茶苦茶が出来た。今や、あの頃と同じペースで飲み食いするとすぐさまトイレに直行や。

 

若い頃の苦労は金を出してでも買え、とはよく言ったもんやで。

 

 

 

部屋の中も一段落ついたように見える。皆、より一層疲れた表情になっている。

よっしゃ、隙ありや。トイレに行くふりしてラーメン食べにいこ。

 

抜き足差し脚で部屋を出ようとしたところ、

 

 

{須藤先生、どこに行くんですか?}

 

と愛子さまが的確なツッコミを入れてきた。

 

 

こういう場にだいたい一人はおるもんや、いらん気を利かすヤツが。

 

 

 

「お腹の調子がすこぶる悪いんで、お手洗いに行ってきますわ。」

 

<お、ピッピですか。これがほんまの下痢ラ豪雨や!ギャハハハ・・・>

 

 

院長達のオジン臭い笑い声が部屋にこだまする。みんな気を使って空笑いしている。ダシにされたオレの気持ちをどうにかして欲しいもんやで。

 

 

そう思いつつも、部屋を出る。

 

 

 

・・・しかし、見られた。思いっきり見られた。このままラーメン屋に行ってエエもんか?一抹の不安がよぎる。

 

 

しかし、や。酔っ払ってそこかしこで居眠りしてしまう話は、枚挙に暇がないあるあるネタや。

 

どっか外で寝てしまった体にして、ラーメン食べに行くか。

 

 

そう腹を括り、外に出る。

 

 

 

夜も更けた時間帯だが、まだまだ街は賑やかだ。

 

欲望の街とはよく言ったもんやで、それぞれの思惑が渦巻いたカオスの様相を呈している。

 

 

知らんけど。

 

 

 

しかし中々スリルがあるで、イベントを途中で抜けるなんて。合コンでもそんなんした事無いってのに。

 

 

ひとまず店を出て、長堀通りを目指す。地図上では、店を挟んで道頓堀とは逆方向に当たるエリアだ。つまり、今回の目的地は金龍ラーメンではない。

 

長堀通り沿いにある希望軒だ。ここも、酒を呑んだ締めには打ってつけのラーメン店だ。とどのつまりが、ラーメンなら何でもエエって事か?

 

 

知らんけど。

 

 

 

店に到着し、ラーメンとチャーハンとギョーザを頼む。アカン、さらにめっちゃ腹減ったきたで。

 

 

 

店内には、オレと似たような境遇と思われる客がすでに数名座っている。

 

皆一様に、背中に哀愁を漂わせているように感じる。

 

 

背中で語るとは良く言ったもんやで。正面から見ていくら大人びていても、その背中を見ればエラい子供のオーラが出ている人物を見たのは、一度や二度では無い。

 

若者には気を付けなアカンで、色んな意味で。

 

 

知らんけど。

 

 

 

そんなどーでもエエ事を考えながら、ラーメンをすすった。

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