<おい須藤。あの娘、めちゃくちゃ酔っ払っとるやないか。〉
「ウチのスタッフですか?」
<いや、お前とデュエットしとった娘や。>
また愛子さまかい。どんだけ絡みあんねん。
「もうエエでしょ、C先生に見てもらいましょ。」
<冷たい事言うなや、縁ってのはこういうモンや。フォレストガンプや。一期一会や。>
「キャバ嬢にも同じ事言ってるんですか?」
<・・・余計なお世話や。とにかく見てみぃ、完全にグロッキーや。>
「さっさと家に帰したったらエエんちゃいますか?」
<時計見てみい。もうとっくに終電の時間は過ぎとる。だから、お前が介抱するしか方法は無いやろ。≫
「イヤ、他の女性スタッフにタクシー代とお小遣い渡して送らせたらエエじゃないですか。」
<それが、あの娘の家はここからタクシーで2時間以上はかかるとこや。て、C先生がな。>
「どんな猿岩石なんですか。ヒッチハイクして来とるんですか?」
<しょーもない事言うな。だから、送ろうにも送りようがないやろ。>
「別にそれでもエエじゃないですか。後々ややこしい話になるんやったら、それぐらいのタクシー代、安いもんでしょ。」
<簡単に言うけどな・・・>
と思った矢先、愛子さまがスクっと立ちあがった。
<どうやらパウダールームに行くみたいやな。>
「便所ですか。」
<お前にはデリカシーってもんが無いんか。立派なデリハラや。>
デリヘルみたいに言うな。
「そんなとこでブラックアウト起こしたら、エラい事ですよ?」
<アホな事言うやな・・・>
酔いが醒めた顔をしている。素面の時よりも、ダメージを受けているように見える。
そんな事を考えていると、思ったよりも早く愛子さまが戻ってきた。幸いにも大事には至らなかったようだ。
しかし、部屋に戻ってきた愛子さまを見ると・・・
雅子さまに入れ変わっていた。
引田天功ちゃうねん、どんなイリュージョンや。
どうやら別のスタッフのようだ。紛らわしい。
その後すかさず、愛子さまがカムバックや。フラフラしている。そのご尊顔を見ると、半笑いで目が座っている。
酔っぱらいにありがちなパターンや。別に珍しい話ではない。
が、しかし・・・完全に嘔吐する顔に変化し出した。
いや、呑み過ぎや。そして呑ませ過ぎや。若い娘を預かってる、て分かっとるんか?
酒が強かろうが弱かろうが、もはや強要そのものが罪となる時代だ。
そして、何よりキャパを超えんようにチェックしとくのが、大人の努めや。
と、不安な気持ちに苛まれていると・・・